NOIA_GRIDKNOWLEDGE ARCHIVE
← KNOWLEDGE ARCHIVE

AIアクセラレータはGPUから「計算機そのもの」へ

AI半導体

この資料の日時

元資料の日付と、その本文が公に存在した確認日時は別の記録です。

本文に含まれる語句 HBM DRAM SRAM 帯域・データ移動 先端パッケージング 電力・給電 冷却 チップレット AI推論 AIエージェント

出典・更新履歴・検証情報

この保存版のデータを照合するための情報です。元記事の初公開日とは区別しています。

データセットの版
2026.09.23.4
記事内容のSHA-256
13d7249e8830f69911c5d05a48a5e3d8cca1c3c9a9ed9a0b67481748c58545f4
保存版のSHA-256
a93cd59b29568aa84be628af33152a3170db8c08b9bd66a99fad20cb315004c4

外部証明の最終検査結果は詳細を開くと表示します。

公開版の履歴・検証方法 · 証拠ファイルを保存(本文・画像は別)

#
記事内の画像
図・画像

AIアクセラレータはGPUから「計算機そのもの」へ

#

Google×AMD観測から見えるCPU・HBM・ラック・供給制約の再編

#

2026年8月、AI半導体を巡る興味深い観測が出てきた。

#

SemiAnalysisの顧客向けレポートを基にした報道によれば、Googleが第10世代TPUの一部についてAMDと協業しているとの「market chatter」があるという。重要なのは、AMDがGoogleのTPUそのものを一から設計するという話ではない。SemiAnalysisがAMDの候補理由として挙げたのは、先端パッケージ、SoICを使った3D実装、そしてCPU IPだった。Googleとその顧客が、強化学習などCPU負荷の大きい処理のため、TPUとCPU coreを同一パッケージへ近づけようとしているとの観測である。現時点でGoogleもAMDも正式発表しておらず、これはあくまで未確認情報として扱う必要がある。 (Tom's Hardware)

#

だが、この観測が本当かどうか以上に面白いことがある。

#

なぜ候補がAMDなのか。

#

ここを掘っていくと、Google TPU、AMD Instinct、NVIDIA Vera Rubin、BroadcomのXPUが、実は同じ方向へ収束し始めていることが分かる。

#

それは、

#
AIアクセラレータを「GPUやASICという一枚のチップ」として考える時代から、CPU・XPU・SRAM・HBM・ネットワーク・ストレージを一つの計算機として設計する時代への移行
#

である。

#

#

1.Broadcom自身が予告していた「CPUを内蔵するXPU」

#

GoogleとBroadcomは2026年4月、将来世代のTPUとAIラック向けネットワーク部品について2031年までの長期契約を結んだ。つまりAMD観測が事実だったとしても、GoogleがBroadcomを捨てるという話ではない。むしろGoogleのAI計算需要が大きすぎるため、複数の設計・供給元を持つ方向である。 (Reuters)

#

BroadcomのHock Tan CEO自身も6月3日の決算説明会で、

#
Broadcomとしてはすべての設計を獲得したいが、GoogleのAI computeの開発・消費速度を考えれば、供給元がある程度多様化することは十分想定している
#

という趣旨を述べている。 (The Motley Fool)

#

さらに重要なのが、同じ決算説明会の最後にHock Tanが説明した次世代XPU像である。

#

彼は、XPU一個当たりの価値が世代を追って上がる理由として、

#
  • SRAMを増やす
  • CPU coresをXPUに組み込む
  • multi-die化する
  • 大量のHBMを載せる
#

ことを挙げた。 (The Motley Fool)

#

つまりBroadcom自身が、

#
従来

CPU
 │ PCIe
 │
ASIC + HBM
#

から、

#
次世代

┌────────────────────┐
│ CPU chiplet        │
│ AI XPU chiplet     │
│ SRAM / Cache       │
│ I/O die            │
│ HBM × 多数         │
└────────────────────┘
#

へ向かうと予告しているのである。

#

これは非常に重要な変化だ。

#

#

2.なぜAIアクセラレータにCPUを入れるのか

#

LLMのpre-trainingを極端に単純化すれば、巨大な行列積を長時間走らせる仕事である。

#

こういう処理ではGPUやTPUが強い。

#

ところがAIがReasoning、Reinforcement Learning、Agentへ進むと、

#
LLM推論
 ↓
候補生成
 ↓
環境実行
 ↓
Python / Tool call
 ↓
検索・DBアクセス
 ↓
結果解析
 ↓
Reward / Evaluation
 ↓
次のLLM推論
#

というループが増える。

#

ここには、

#
  • 分岐
  • scheduling
  • code execution
  • sandbox
  • retrieval
  • database
  • parsing
  • environment simulation
  • reward計算
  • tool orchestration
#

といった、GPUの巨大行列積とは性質の違う処理が大量に存在する。

#

AMDも第6世代EPYCについて、Agentic AIではplanning、retrieval、tool executionなどCPU側の仕事が増えると説明している。 (AMD)

#

SemiAnalysis由来の情報では、GoogleもTPU世代を進めるにつれCPU比率を高めているとされ、次世代ではCPUをTPUと同じパッケージへ近づけることが検討されているという。 (Tom's Hardware)

#

つまりCPUはもう「GPUを起動するためだけのホスト」ではない。

#

GPUやASICを高稼働率で動かすための、AIシステムのもう一つの演算器になりつつある。

#

#

3.ここで突然AMDが有力候補になる

#

GoogleはTPUそのものの設計経験を十分に持っている。

#

そのためAMDに期待されるものが、

#
「Tensor演算器を設計してください」
#

とは考えにくい。

#

AMDが持つ独特の資産は別のところにある。

#
AMD

Zen / EPYC CPU
      +
Instinct / CDNA
      +
chiplet
      +
Infinity Fabric
      +
HBM integration
      +
3D stacking
      +
Pensando
      +
ROCm
      +
Semi-Custom
#

である。

#

特にAMDは、自社CPUとGPUを一つに統合する経験をすでに持っている。

#

代表例がMI300Aだ。

#

MI300Aは、

#
  • 24 Zen 4 CPU cores
  • 228 CDNA 3 GPU Compute Units
  • 128GB Unified HBM3
#

を一つのパッケージへ統合している。CPUとGPUが同じHBM poolを共有する。 (AMD Instinct)

#

概念的には、

#
         MI300A

Zen CPU ─────────┐
                 │
                 ├── Unified HBM
                 │
CDNA GPU ────────┘
#

である。

#

Googleが将来、

#
Google TPU
     +
CPU
     +
HBM
#

を一つのpackageへ統合したいなら、AMDにはそれに非常に近い経験がすでにある。

#

だからGoogle×AMDが本当なら、この案件はAMDにとって単なるASIC受託売上以上の意味を持つ。

#

他社AI ASIC+CPU+HBMを統合する実戦経験を積めるからだ。

#

#

4.Vera Rubinと次世代Custom XPUは同じ方向を向いている

#

この構造をNVIDIA Vera Rubinと並べるとさらに分かりやすい。

#

Vera Rubin NVL72は、

#
  • 72 Rubin GPU
  • 36 Vera CPU
  • NVLink 6
  • ConnectX-9
  • BlueField-4
  • Spectrum-X / Quantum-X
  • 20.7TB HBM4
#

をラック全体で一つの計算機として設計する。NVIDIA自身が「単一GPUサーバーではなく、ラック全体を一つのrack-scale acceleratorとして扱う」設計を強調している。 (NVIDIA Developer)

#

さらに一つのVera Rubin Superchipは、

#
Rubin GPU
      ↘
       Vera CPU
      ↗
Rubin GPU
#

という2 GPU : 1 CPU構成で、CPUとGPUをmemory-coherent NVLink-C2Cで結ぶ。 (NVIDIA Developer)

#

一方、Broadcomが語る将来XPUは、

#
CPU cores
+
ASIC/XPU
+
SRAM
+
大量HBM
+
multi-die
#

である。

#

表面的には、

#

NVIDIA

#

CPU+GPU+HBM+NVLink

#

Google/Broadcom/AMD型

#

CPU+Custom ASIC+HBM+D2D

#

と違って見える。

#

しかしシステムの思想はかなり近い。

#
CPUとAI acceleratorを近づけ、メモリを大量に載せ、ダイ間通信を高速化し、それらをラック単位で動かす。
#

GPUとASICが違うだけである。

#

#

5.「ロジックとメモリの融合」とは何か

#

ここでいう融合とは、いきなりDRAM cellの隣にGPU Tensor Coreを作るという意味だけではない。

#

段階がある。

#
第1段階
CPU ─ PCIe ─ GPU ─ HBM

        ↓

第2段階
GPU chiplet + HBM
同一package

        ↓

第3段階
CPU + GPU/XPU + HBM
同一package

        ↓

第4段階
logic die
  ↕ hybrid bonding
logic / cache / I/O die
  ↕
HBM logic base die
  ↕
DRAM stack

        ↓

第5段階
memory-on-logic
near-memory compute
3D DRAM
#

である。

#

HBM4ではlogic base dieの役割も大きくなり、将来的なHBM5 20-Hiでは、stack height、I/O density、thermalの制約からHybrid Bondingを使う方向が強いとTrendForceは報告している。 (TrendForce)

#

つまりAI半導体は、

#
ロジックを微細化する競争
#

だけでなく、

#
演算とデータの物理距離を短くする競争
#

になっている。

#

#

6.AMD・Intel・Arm――CPUは何が違うのか

#

ここでCPUの違いも整理しておきたい。

#

AMD Zen / EPYC

#

ZenはISAではなくCPU microarchitectureである。

#

命令セットはx86-64。

#

第6世代EPYC 9006では、

#
  • 最大256 cores
  • 最大512 threads
  • 16 memory channels
  • 最大12.8GT/s MRDIMM
  • PCIe Gen6
#

まで拡張されている。 (AMD)

#

AMDの特徴は、chipletを早期から大規模CPUへ展開したことにある。

#
Zen CCD
Zen CCD
Zen CCD
Zen CCD
   ↓
 I/O Die
   ↓
DDR / PCIe / GPU
#

という構造を得意としており、異種ダイを組み合わせる設計との相性がよい。

#

#

Intel Xeon

#

Intel Xeonも基本的にはx86-64なので、AMD EPYCとのソフトウェア互換性は高い。

#

Intelの特徴の一つは、

#
  • P-core
  • E-core
#

という異なるCPU設計をデータセンター向けにも展開していること。

#

さらにXeonにはAMX(Advanced Matrix Extensions)があり、CPU自身でもAIの行列処理を高速化できる。Xeon 6はDDR5-6400やMRDIMMをサポートし、メモリ帯域強化も重視している。 (Intel)

#

#

Arm

#

Armは少し立場が違う。

#

ArmはNeoverseなどのCPU IPを提供し、企業がそれを自社SoCへ組み込みやすい。

#

Neoverse N3はperformance-per-wattを重視し、8~192 cores以上へスケールする構成を想定している。 (Arm Newsroom)

#

そのためHyperscalerは、

#
Arm CPU
+
自社AI ASIC
+
自社I/O
+
security
+
memory controller
#

という製品を作りやすい。

#

Google AxionやAWS Gravitonのような方向である。

#

#

簡単に整理すると

#
CPU強みAMD Zen / EPYCx86、chiplet、高core密度、GPU/heterogeneous統合Intel Xeonx86、enterprise ecosystem、AMX、P/E coreArm Neoverseperformance/W、IPライセンス、custom SoCへの組み込みやすさ\begin{array}{|l|l|} \text{CPU}&\text{強み}\cr\hline \text{AMD Zen / EPYC}&\text{x86、chiplet、高core密度、GPU/heterogeneous統合}\cr\hline \text{Intel Xeon}&\text{x86、enterprise ecosystem、AMX、P/E core}\cr\hline \text{Arm Neoverse}&\text{performance/W、IPライセンス、custom SoCへの組み込みやすさ}\cr\hline \end{array}
#

GoogleがAMDを欲しがる可能性が面白いのは、ArmのようなCustom SoCの世界へ、AMDがx86+chiplet+先端実装を持って入ってくる可能性があるからだ。

#

#

7.AMDは「CPU+GPU会社」から「AIラック会社」へ変わった

#

その変化を最も分かりやすく示すのがHeliosである。

#

AMD Heliosは72基のMI455X、18基のEPYC Venice、Pensando networkを統合するrack-scale reference designである。AMD自身が完成ラックを一種類だけ販売するというより、OEM/ODMが製品化するための設計基盤に近い。 (Advanced Micro Devices, Inc.)

#

構造は、

#
               Helios

        18 × EPYC Venice
               │
        72 × MI455X
               │
        UALink / UALoE
               │
        Pensando Vulcano
               │
           Ethernet
               │
         他のHelios
#

となる。

#

つまりAMDは、

#
  • CPU
  • GPU
  • Scale-Up
  • Scale-Out
  • DPU/NIC
  • Software
  • Rack design
#

までを一つのsystemとして提供し始めた。

#

これはNVIDIAがGrace/Blackwell/Rubinでやってきたことに非常に近い。

#

#

8.MIシリーズはRadeonとは何が違うのか

#

AMDのconsumer GPUは主にRDNA。

#

InstinctはCDNAである。

#

目的が違う。

#

Radeon / RDNA

#
  • graphics
  • rasterization
  • gaming
  • display
  • general GPU
#

Instinct / CDNA

#
  • matrix multiply
  • BF16 / FP16 / FP8 / FP4
  • HPC FP64
  • HBM
  • multi-GPU
  • AI training / inference
#

MI300世代から特に目立つのは、演算量だけではなくHBM容量を猛烈に増やしていることである。

#

MI300AではCPU・GPU・HBMのunificationまで実現した。 (AMD)

#

#

9.ROCmとCUDA

#

NVIDIAの強さを「CUDA」と一言で呼ぶことが多いが、CUDAは単一の言語ではない。

#
PyTorch / JAX / vLLM
       │
       ↓
CUDA Runtime
       │
 ┌─────┼──────────┐
cuBLAS cuDNN     NCCL
       │
   TensorRT
       │
 NVIDIA GPU
#

という巨大なソフトウェアplatformである。

#

CUDA Toolkitにはcompiler、runtime、debug/optimization tools、accelerated librariesが含まれ、cuDNN、cuBLAS、NCCLなどがその上でAI計算を支えている。 (NVIDIA Developer)

#

AMD側がROCmである。

#
PyTorch / JAX / vLLM / SGLang
              │
             HIP
              │
    ┌─────────┼────────┐
  rocBLAS    RCCL     etc.
              │
          Instinct
#

ROCmはcompiler、runtime、librariesから構成されるopen-source GPU computing platformで、rocBLASやRCCLなどを含む。 (AMD ROCm)

#

CUDAの優位は単なるAPIではなく、

#

長年蓄積したkernel、library、profiling、開発者ノウハウ

#

にある。

#

#

10.ROCm.ai――AMDはソフトウェア最適化をAI自身にやらせようとしている

#

2026年、AMDはROCmの上にROCm.aiを展開し始めた。

#

ROCm.aiではClaude、Codex、Cursorなどのcoding agentがAMD hardware/ROCmを理解し、GPU softwareの開発や最適化を補助する。 (Advanced Micro Devices, Inc.)

#

これは非常にAMDらしい戦略である。

#

CUDAとの差を、

#
人間のエンジニアだけで何年もかけて埋める
#

のではなく、

#
AI coding agentを使ってAMD向けkernel optimizationを加速する
#

のである。

#

AMDとAnthropicがClaudeをROCm開発最適化にも利用し、OpenAIもTritonとROCmを組み合わせMI455X/Heliosを最適化すると発表していることも重要だ。 (Advanced Micro Devices, Inc.)

#

#

11.Dynamic VRAM――「VRAMを増やす」には複数の意味がある

#

「Dynamic VRAM」「Unified Memory」という言葉は混同されやすい。

#

少なくとも3種類に分ける必要がある。

#

① Variable Graphics Memory

#

Ryzen AI Max+ 395では128GB unified system memoryのうち最大96GBをgraphics memoryとして割り当てられる。 (AMD)

#

ただしこれは、

#
96GBのHBMを追加した
#

わけではない。

#

LPDDR系system memoryをCPU/GPUで共有している。

#

#

② MI300A型Unified HBM

#

MI300AはCPUとGPUそのものが128GB HBM3を共有する。

#

これはVGMより一段深い。

#
CPU ─┐
     ├── 128GB HBM3
GPU ─┘
#

である。 (AMD)

#

#

③ discrete GPUでのmemory oversubscription

#

さらにdiscrete GPUでは、

#
GPU HBM
 ↓
CPU DRAM
 ↓
NVMe
#

へデータを退避することもできる。

#

しかし、

#
Address spaceが共通に見えること
#

と、

#
全メモリがHBMと同じ22TB/sで読めること
#

は全く違う。

#

ここが重要である。

#

#

12.そしてAMDはもう「HBMだけで解決する」設計ではない

#

2026年7月、AMDは**AMD Infinity Context(AIC)**を公開した。

#

これはKV cacheをGPU HBMの外へ逃がすための専用tierである。 (AMD ROCm Blog)

#

AMDとMoonshot AIが構築したAgentic AI stackでは、さらにUMBP(Unified Memory & Bandwidth Pool)として、

#
L1  GPU HBM
      ↓
L2  Host DRAM
      ↓
L3  Shared memory pool
      ↓
L4  SSD
#

というmulti-tier KV cacheを構築している。 (AMD)

#

つまりAMDの未来は、

#
HBMを増やす
#

か、

#
CPU memoryへ逃がす
#

かの二択ではない。

#

両方をやる。

#

#

13.MI455X Helios vs Vera Rubin NVL72――GPU FLOPSを見ない比較

#

両ラックの思想は、GPU性能を外して比較すると非常に面白い。

#

AMD公式仕様とNVIDIA公式仕様を並べるとこうなる。 (AMD)

#
項目AMD HeliosNVIDIA Vera Rubin NVL72GPU72 MI455X72 RubinCPU18 EPYC Venice36 VeraGPU/CPU4 : 12 : 1HBM/GPU432GB288GBHBM/rack31.1TB20.7TBHBM BW/GPU23.3TB/s22TB/sHBM BW/rack約1.68PB/s1.58PB/sScale-Up約260TB/s約260TB/sScale-Out43TB/s28.8TB/sCPU memoryDDR/MRDIMM54TB LPDDR5XCPU↔GPUInfinity/PCIe系NVLink-C2C 65TB/s/rackSoftwareROCmCUDAScale-Up規格UALink / UALoENVLink 6\begin{array}{|l|c|c|} \text{項目}&\text{AMD Helios}&\text{NVIDIA Vera Rubin NVL72}\cr\hline \text{GPU}&\text{72 MI455X}&\text{72 Rubin}\cr\hline \text{CPU}&\text{18 EPYC Venice}&\text{36 Vera}\cr\hline \text{GPU/CPU}&\text{4 : 1}&\text{2 : 1}\cr\hline \text{HBM/GPU}&\text{432GB}&\text{288GB}\cr\hline \text{HBM/rack}&\text{31.1TB}&\text{20.7TB}\cr\hline \text{HBM BW/GPU}&\text{23.3TB/s}&\text{22TB/s}\cr\hline \text{HBM BW/rack}&\text{約1.68PB/s}&\text{1.58PB/s}\cr\hline \text{Scale-Up}&\text{約260TB/s}&\text{約260TB/s}\cr\hline \text{Scale-Out}&\text{43TB/s}&\text{28.8TB/s}\cr\hline \text{CPU memory}&\text{DDR/MRDIMM}&\text{54TB LPDDR5X}\cr\hline \text{CPU}\leftrightarrow\text{GPU}&\text{Infinity/PCIe系}&\text{NVLink-C2C 65TB/s/rack}\cr\hline \text{Software}&\text{ROCm}&\text{CUDA}\cr\hline \text{Scale-Up規格}&\text{UALink / UALoE}&\text{NVLink 6}\cr\hline \end{array}
#

特徴が非常にはっきりしている。

#

AMD

#

HBMを多くする。 Scale-Outを太くする。

#

NVIDIA

#

CPUを多くする。 CPUとGPUを密結合する。

#

である。

#

#

14.HBMはAMDが50%多い

#

MI455X:

#
432GB\text{432GB}
#

Rubin:

#
288GB\text{288GB}
#

なので、

#
432288=1.5\frac{432}{288}=1.5
#

MI455XはRubinより50%多いHBMを持つ。

#

72 GPUなら、

#

Helios

#
72×432GB=31.104TB72\times\text{432GB}=\text{31.104TB}
#

Rubin NVL72

#
72×288GB=20.736TB72\times\text{288GB}=\text{20.736TB}
#

となる。

#

推論ではこの差が大きい。

#

HBMにはmodel weightsだけでなく、

#
  • KV cache
  • activations
  • communication buffer
  • batch
  • concurrent sessions
#

も入るからだ。

#

#

15.帯域差より容量差の方が大きい

#

一方HBM bandwidthは、

#

MI455X

#

23.3TB/s

#

Rubin

#

22TB/s

#

なので約6%差しかない。

#

つまりAMDの特徴は、

#
帯域を50%増やしたこと
#

ではなく、

#
ほぼ同じ帯域密度のまま、ローカルHBM容量を50%増やしたこと
#

にある。

#

decode-heavy inferenceや大KV cache、多数userを同時処理する場合にはかなり魅力的である。

#

#

16.CPUではNVIDIAが逆に非常に重い

#

Vera Rubin NVL72は36 Vera CPU。

#

Heliosは18 EPYC。

#

つまり、

#

NVIDIA

#

2 GPU / CPU

#

AMD

#

4 GPU / CPU

#

である。

#

NVIDIAはVera CPUだけで3,168 Olympus coresと54TB LPDDR5Xをラックに載せ、GPUとNVLink-C2Cで結合する。 (NVIDIA)

#

これはReasoning、RL、Agentを意識した設計と考えると非常に分かりやすい。

#

AMDは反対に、強力なx86 EPYCを少ないsocket数で使い、GPU側へ大量HBMを与える。

#

#

17.Scale-Upは数字上ほぼ互角

#

両方ともrack aggregateで約260TB/s。

#

NVIDIA

#

NVLink 6 / NVSwitch

#

AMD

#

UALink / UALoE

#

である。 (AMD)

#

ただしpeak bandwidthと実効bandwidthは同じではない。

#

実際のAIでは、

#
  • AllReduce
  • AllGather
  • ReduceScatter
  • Tensor Parallel
  • Expert Parallel
  • MoE routing
#

が走る。

#

この効率はソフトウェアstackにも左右される。

#

その意味では長い実運用実績を持つNVLink+NCCLが現時点では有利と考えるのが無難である。

#

一方AMDはRCCLのcollectiveをGPU copy engineへoffloadし、computeとcommunicationを重ねる機能まで進めている。 (AMD ROCm)

#

#

18.Scale-OutはAMDが非常に太い

#

Helios:

#
43TB/s\text{43TB/s}
#

Rubin NVL72:

#
28.8TB/s\text{28.8TB/s}
#

なのでraw bandwidthではHeliosが約1.5倍。 (AMD)

#

巨大MoEやmulti-rack inferenceではこれは重要である。

#

ただしNVIDIAはSpectrum-X、ConnectX、BlueField、NCCLなどnetwork stackを垂直統合している。

#

したがって、

#
raw bandwidth:AMD
#
ecosystem / optimization:NVIDIA
#

という競争になる。

#

#

19.消費電力だけで単純比較してはいけない

#

両社ともラック全体の最終消費電力はOEM構成、冷却、NIC、power shelfなどで変わる。

#

したがって、

#
Helios ○○kW vs Rubin ○○kW
#

と一つの数字だけで断定するのは危険である。

#

本当に見るべきなのは、

#
tokens/s/MW\text{tokens/s/MW}
#

である。

#

NVIDIAはRubinについてBlackwell世代との比較で大幅なtokens/MW改善を主張しているが、これはAMDとの第三者比較ではない。 (NVIDIA Developer)

#

AMDもHeliosについて、Vera Rubin NVL72を比較対象とした自社モデルで**最大30%高いinference tokens/$**を主張している。ただしKimi K2 Thinking、32K input / 8K output、推定GPU時間価格を使ったAMD Performance Labsのモデル値であり、中立的な実測benchmarkではない。 (Advanced Micro Devices, Inc.)

#

#

20.MFU――「GPU使用率100%」でもGPUは100%働いていない

#

AIインフラでは「GPU utilization」という一つの数字を見るだけでは不十分である。

#

例えば、

#
GPU utilization      100%
HBM bandwidth         95%
Matrix unit active    35%
#

なら、GPUは忙しく見えてもmemory-boundである。

#

逆に、

#
GPU utilization      100%
HBM bandwidth         45%
Matrix unit active    90%
#

ならcompute-boundに近い。

#

本当に見るべきなのは、

#
  • Matrix/Tensor unit utilization
  • HBM bandwidth utilization
  • occupancy
  • interconnect utilization
  • power utilization
  • MFU
  • TTFT
  • ITL
  • tokens/s
  • tokens/s/W
  • tokens/$
#

である。

#

#

21.PrefillとDecodeでも答えが変わる

#

LLM inferenceには大きく、

#

Prefill

#

大量tokenをまとめてmatrix calculation

#

Decode

#

weightsとKV cacheを読みながらtokenを一個ずつ生成

#

という異なる局面がある。

#

Decodeは特にmemory-boundになりやすい。

#

Google自身もIronwood上のQwen 3.5最適化で、decode-heavy workloadでは実性能がHBM bandwidth rooflineに強く近づくことを示している。 (Google Developers Blog)

#

このためMI455Xの432GB HBMは、

#
単に巨大モデルが入る
#

以上に、

#
大量のKV cacheとsessionを保持してGPUへ常に仕事を送り続ける
#

という意味を持つ。

#

#

22.ASICならGPUより稼働率が高いのか

#

必ずしもそうではない。

#

ASICは特定workloadについて、

#
  • 不要回路を削る
  • dataflowを固定する
  • memory movementを最適化する
#

ことで高いperformance/Wを得やすい。

#

Google TPUはその典型である。

#

しかしworkloadが変則的になれば、

#
MoE routing
branch
tool execution
CPU work
小batch
不規則sequence
#

などで専用演算器が余る可能性もある。

#

GPUは多少回路が余っても、softwareで用途を変えられる。

#

今後のAI chip競争では、

#
peak FLOPS
#

より、

#
実際のworkloadで何%の時間演算器を働かせ続けられるか
#

が重要になっていく。

#

#

23.ここで一つの疑問が出る――なぜAMDはHBMを増やし、NVIDIAは減らそうとしているのか

#

MI455X:

#
432GB\text{432GB}
#

Rubin:

#
288GB\text{288GB}
#

そしてMI500ではAMDは「next-generation memory」を明言している。 (Advanced Micro Devices, Inc.)

#

一方NVIDIAについてTrendForceは8月4日、Rubin Ultraで当初の12-Hi HBM4Eだけでなく、

#
  • 8-Hi HBM4E
  • 12-Hi HBM4
  • 8-Hi HBM4
#

まで評価し始めたと報じた。

#

さらにVera側のSOCAMM容量もLPDDR5X供給制約から削減する方向だという。最終HBM仕様はまだ決まっていない。 (TrendForce)

#

一見すると矛盾している。

#

世界的にDRAM/HBMが不足しているなら、なぜAMDだけ432GBも積めるのか。

#

#

24.答えの一つは「総生産量」

#

ここで非常に重要な式が出てくる。

#
HBM需要=HBM/accelerator×accelerator出荷数量\boxed{\text{HBM需要}=\text{HBM/accelerator}\times\text{accelerator出荷数量}}
#

である。

#

例えば、

#

AMD

#

20万GPU × 12 HBM stacks

#

NVIDIA

#

170万GPU × 8 HBM stacks

#

なら、

#

一個当たりはAMDの方が多くても、

#

総HBM消費ではNVIDIAが圧倒的に大きい。

#

市場リーダーと挑戦者では最適戦略が違う。

#

#

25.NVIDIAは「一個を豪華にする」より「完成GPUを増やす」必要がある

#

TrendForceによれば、Rubin Ultraで12-Hiから8-Hiへ減らした場合、目的の一つは限られたDRAM waferからより多くのGPUを出荷することである。 (TrendForce)

#

同じ8 stackと仮定すれば、

#

12-Hi

#
8×12=968\times12=96
#

DRAM dies

#

8-Hi

#
8×8=648\times8=64
#

DRAM dies

#

となる。

#

つまり、

#
6496=0.667\frac{64}{96}=0.667
#

GPU一個当たりDRAM dieを33%削減できる。

#

他の制約を無視すれば、同じDRAM die量から、

#
9664=1.5\frac{96}{64}=1.5
#

1.5倍のGPUへHBMを配れる。

#

これは数百万GPUを作るNVIDIAには非常に大きい。

#

#

26.AMDはHBMを「差別化コスト」として使える

#

一方AMDは市場シェアを取りに行く立場である。

#

NVIDIAには、

#
  • CUDA
  • NVLink
  • ecosystem
  • installed base
#

という理由がすでにある。

#

AMDは、

#
432GB HBM
+
高Scale-Out
+
open UALink
+
低tokens/$
#

という明確な理由を作る必要がある。

#

つまり余分なHBMは、

#
AMDにとって市場シェア獲得のための投資
#

とも考えられる。

#

総GPU数量がNVIDIAより小さい限り、1GPU当たりHBMを贅沢に載せても、必要なHBM総量はNVIDIAより小さい。

#

#

27.MI500では576GB、768GBまで行くのか

#

AMDが公式に発表しているのは、

#

2027

#

MI500 Helios 500 EPYC Verano Pensando Como / Monza

#

2028

#

MI600 Helios 600 EPYC Ferrara

#

までで、MI500のHBM容量はまだ未発表である。 (Advanced Micro Devices, Inc.)

#

ただしSamsungはHBM4Eについて、

#
  • 48GB 12-Hi
  • 32GB 8-Hi
  • 将来64GB 16-Hi
#

を公表している。 (Samsung Global Newsroom)

#

仮にMI455Xのような12-stack級配置を維持できるなら、

#

48GB × 12

#
576GB\text{576GB}
#

64GB × 12

#
768GB\text{768GB}
#

となる。

#

これはAMDの発表仕様ではなく、HBM4E roadmapから見た技術的シナリオである。

#

私は576GB級の方が768GBよりMI500には自然だと見る。

#

16-Hiではstack height、yield、thermal、DRAM die消費量がさらに重くなるからだ。

#

#

28.しかしAMDは同時にHBM依存を減らす

#

ここが重要である。

#

AMD Infinity ContextやUMBPを見る限り、

#
SRAM / Cache
     ↓
HBM
     ↓
Host DRAM
     ↓
Shared memory pool
     ↓
NVMe
     ↓
Distributed KV store
#

という階層化も同時に進む。 (AMD ROCm Blog)

#

したがって、

#
MI500はHBMを576GBへ増やすのか
#
それともCPU memory/CXL/external KVを使うのか
#

という問いは二者択一ではない。

#

答えはおそらく、

#
両方\boxed{\text{両方}}
#

である。

#

#

29.CXLとUALinkは競合ではない

#

将来のAMD systemでは、おおむね、

#

UALink

#

accelerator ↔ accelerator

#

CXL

#

CPU ↔ memory expansion / shared memory

#

Ethernet/RDMA

#

GPU ↔ remote KV/storage

#

という役割分担が自然である。

#
MI500 HBM
   ↕
UALink
   ↕
MI500 HBM

     ↓

EPYC
 ↕
DDR / CXL memory

     ↓

Pensando RDMA
     ↓
KV storage / NVMe
#

となる。

#

そのためAMDもNVIDIAと同じく、単純な「VRAM容量競争」からmemory hierarchy競争へ移っていく可能性が高い。

#

#

30.FeynmanとMI500/MI600も同じ方向へ進む

#

NVIDIAはRubin以降、Feynman世代へ進む。

#

詳細仕様はまだ将来roadmapの段階だが、重要なのはNVIDIAも、

#
  • CPU
  • GPU
  • memory
  • networking
  • storage
  • context memory
#

をAI Factory単位で設計していることである。

#

AMDもMI500/MI600+EPYC+Pensando+ROCm/AICを同じように統合する。

#

したがって将来の競争は、

#
MI500 GPU vs Feynman GPU
#

ではない。

#
AMD AI Factory
vs
NVIDIA AI Factory
vs
Google TPU Factory
vs
AWS Trainium Factory
#

になる。

#

#

31.そして最後にたどり着くのが「front-end wafer」

#

ここまで来るとGPU性能より重要な制約が見えてくる。

#

AI acceleratorを作るには、

#
300mm wafer
    ↓
Front-End Logic Fab
N3 / N2
    ↓
完成logic wafer
    ↓
dicing
    ↓
Advanced Packaging
CoWoS / SoIC
    ↓
HBM
    ↓
substrate
    ↓
NIC / switch
    ↓
rack
#

という工程が必要である。

#

半導体の厳密な用語では、

#
  • FEOL=transistor形成
  • MOL
  • BEOL=metal interconnect
#

と分ける。

#

一方、供給網分析でいう「front-end wafer capacity」は、しばしばadvanced packagingへ送る前のfoundry logic wafer能力全体という意味で使われる。

#

#

32.CoWoSが空いていてもlogic waferがなければ何も作れない

#

以前AI半導体で最も有名なボトルネックはCoWoSだった。

#

しかし、

#
CoWoS capacity ↑
#

しても、

#
N3/N2 wafer不足
#

ならGPUそのものが来ない。

#

逆も同じ。

#

さらにHBMを作るためにはSamsung、SK hynix、Micron側のDRAM front-end waferも必要である。

#

したがってAI accelerator生産量は、

#
Supply=min⁡(Logic wafer,HBM wafer,Packaging,Substrate,Network,Power,Cooling)\boxed{\text{Supply}=\min(\text{Logic wafer},\text{HBM wafer},\text{Packaging},\text{Substrate},\text{Network},\text{Power},\text{Cooling})}
#

で決まる。

#

#

33.HBMは特にwaferを大量消費する

#

TrendForceによればHBM向けwafer投入は、主要DRAMメーカーの総DRAM wafer inputに対して、

#
  • 2025:約18%
  • 2026:約22%
  • 2027:約30%
#

へ上がる見込みである。

#

一方HBMが占めるDRAM bit supplyは、

#
  • 2025:約8%
  • 2026:約9%
  • 2027:約13%
#

にすぎない。 (TrendForce)

#

つまり2026年には、

#
waferの22%を使ってbitの9%しか作らない
#

ほどHBMはwafer-intensiveである。

#

これは通常DRAMがHBMにcrowding-outされる理由でもある。

#

#

34.Google TPUが異常に見える理由

#

SemiAnalysisの最新推計では、2026年のTPU v7 Ironwoodは、

#
3.2M→2.7M\text{3.2M}\rightarrow\text{2.7M}
#

へ下方修正された。

#

BroadcomのCoWoS wafer outputも、

#
250k→215k\text{250k}\rightarrow\text{215k}
#

へ引き下げられたとされる。原因はCoWoS-S rampの難しさだという。 (データセンターのダイナミクス)

#

それでも270万個である。

#

Google公式仕様ではIronwoodは、

#
192GB HBM/chip\text{192GB HBM/chip}
#

を搭載する。 (Google Cloud Documentation)

#

したがって、

#
2.7M×192GB=518.4PB\text{2.7M}\times\text{192GB}=\text{518.4PB}
#

bit換算すると、

#
4.1472Eb\boxed{\text{4.1472Eb}}
#

となる。

#

#

35.Google TPUだけでRubinとほぼ同量のHBMを食う

#

Rubinを180万GPUとすると、

#
1.8M×288GB=518.4PB\text{1.8M}\times\text{288GB}=\text{518.4PB}
#

である。

#

つまり偶然にも、

#
2.7M TPU×192GB=1.8M Rubin×288GB\boxed{\text{2.7M TPU}\times\text{192GB}=\text{1.8M Rubin}\times\text{288GB}}
#

となる。

#

HBM bitではどちらも、

#
4.1472Eb\boxed{\text{4.1472Eb}}
#

である。

#

Google TPU v7単独で、Rubin世代の年間HBM需要に匹敵する。

#

これがGoogle TPUの数量が異常に見える理由だ。

#

ただしNVIDIAにはBlackwellもあるので、Google TPUがNVIDIA全体を超えるという意味ではない。

#

#

36.2026年のNVIDIA出荷推計

#

KeyBancの7月時点のsupply-chain推計では2026年に、

#
  • Rubin:170~180万
  • Blackwell:550~600万
#

が見込まれている。これはNVIDIA公式出荷guideではなく、外部アナリスト推計である。 (Barron's)

#

Rubinだけなら中心値175万として、

#
1.75M×288GB=504PB\text{1.75M}\times\text{288GB}=\text{504PB}
#
=4.032Eb=\text{4.032Eb}
#

である。

#

#

37.Blackwellを加えるとNVIDIAはまだ圧倒的

#

Blackwellは製品mixによってHBMが192~288GB程度と大きく違う。

#

したがって正確なHBM bit出荷量にはmix assumptionsが必要になる。

#

ここでは、

#

Low

#

5.5M × 192GB

#
=8.448Eb=\text{8.448Eb}
#

Base

#

5.75M × 平均240GB

#
=11.04Eb=\text{11.04Eb}
#

High

#

6.0M × 288GB

#
=13.824Eb=\text{13.824Eb}
#

と置く。

#

Rubinを足すとNVIDIA全体は、

#
約12.4~18.0Eb\boxed{\text{約12.4~18.0Eb}}
#

中心値、

#
約15.1Eb\boxed{\text{約15.1Eb}}
#

となる。

#

これは出荷数量もBlackwell製品mixも外部推計に依存する分析値であり、NVIDIA公式値ではない。

#

#

38.AMDのHBM bit consumption

#

Visible Alpha consensusを基にしたS&P Globalの分析では、AMD MI400 seriesは2026年に約25.8万基と推計されている。 (S&P Global)

#

仮に全て432GB級MI455X相当として計算すれば、

#
258k×432GB=111.46PB\text{258k}\times\text{432GB}=\text{111.46PB}
#

bit:

#
0.892Eb\boxed{\text{0.892Eb}}
#

である。

#

さらにMI350/MI355X系も2026年に出荷されるため、AMD Instinct全体では私は、

#
約1.3~2.1Eb\boxed{\text{約1.3~2.1Eb}}
#

中心、

#
約1.7Eb\boxed{\text{約1.7Eb}}
#

程度を置く。

#

後半部分はAMDがGPU数量を開示していないため、私のscenario estimateである。

#

#

39.AWS Trainium

#

AWS Trainium3は公式に、

#
  • 144GB HBM3E/chip
  • 4.9TB/s
#

を持つ。144個のTrainium3で20.7TB HBMのUltraServerを構成する。 (Amazon Web Services, Inc.)

#

AmazonはTrainium2の累積deploymentが約140万chipに達したことを明らかにしており、Trainium3も既に量産へ移っているが、2026年年間新規出荷台数は公開されていない。 (Epoch AI)

#

そこで本稿では2026年新規分について、

#
約1.4~2.5Eb\boxed{\text{約1.4~2.5Eb}}
#

中心約2.1Ebというscenarioを置く。

#

ここはGoogle/NVIDIAより不確実性が高い。

#

#

40.Meta MTIA

#

MetaはMTIA 300を既にproductionへ投入し、MTIA 400もGenAI向けに展開している。 (Meta AI)

#

外部推計では2026年のMTIAが30~40万個程度とされる例がある。これはMeta公式数量ではないため低信頼度推定として扱う。 (X (formerly Twitter))

#

216~288GB級HBMを仮定すると、

#
0.52~0.92Eb\boxed{\text{0.52~0.92Eb}}
#

中心約0.71Eb程度となる。

#

#

41.主要AI acceleratorの2026年HBM bit consumption

#

以上を二重計上しないようにまとめる。

#
Platform2026 HBM bit consumption信頼度NVIDIA Blackwell+Rubin約15.1 Eb中Google TPU約4.15 Eb中~高AWS Trainium約2.1 Eb低~中AMD Instinct約1.7 Eb低~中Meta MTIA約0.71 Eb低合計約23.7 Eb分析値\begin{array}{|l|c|c|} \text{Platform}&\text{2026 HBM bit consumption}&\text{信頼度}\cr\hline \text{NVIDIA Blackwell+Rubin}&\text{約15.1 Eb}&\text{中}\cr\hline \text{Google TPU}&\text{約4.15 Eb}&\text{中~高}\cr\hline \text{AWS Trainium}&\text{約2.1 Eb}&\text{低~中}\cr\hline \text{AMD Instinct}&\text{約1.7 Eb}&\text{低~中}\cr\hline \text{Meta MTIA}&\text{約0.71 Eb}&\text{低}\cr\hline \text{合計}&\text{約23.7 Eb}&\text{分析値}\cr\hline \end{array}
#

レンジとしては、

#
約20~28Eb/year\boxed{\text{約20~28Eb/year}}
#

程度と見る。

#

byte換算すれば、

#
23.78≈2.97EB\frac{23.7}{8}\approx\text{2.97EB}
#

なので、

#
約3 Exabytes\boxed{\text{約3 Exabytes}}
#

のHBMが、主要AI acceleratorの2026年新規出荷分だけに載る計算になる。

#

これはraw DRAM fab bitではなく、完成製品に搭載される有効容量換算である。yield lossなどを含む実際の製造bit量はさらに多い。

#

#

42.構成比

#

中心推計23.7Ebなら、

#
Platform構成比NVIDIA約63.5%Google TPU約17.5%AWS約8.9%AMD約7.2%Meta約3.0%\begin{array}{|l|c|} \text{Platform}&\text{構成比}\cr\hline \text{NVIDIA}&\text{約63.5%}\cr\hline \text{Google TPU}&\text{約17.5%}\cr\hline \text{AWS}&\text{約8.9%}\cr\hline \text{AMD}&\text{約7.2%}\cr\hline \text{Meta}&\text{約3.0%}\cr\hline \end{array}
#

となる。

#

ここで重要なのは、

#
Google TPUだけで世界の主要AI accelerator向けHBMの2割弱
#

まで来ている可能性があることだ。

#

数年前の「TPU=Google内部で使う特殊なチップ」というイメージではもう理解できない。

#

#

43.Broadcomは足してはいけない――二重計上になる

#

ここで、

#
NVIDIA+AMD+Broadcom+Google+AWS+Meta
#

を文字通り全部足すと問題が起きる。

#

Google TPUはBroadcomが設計・供給を支援している。

#

Meta MTIAもBroadcomとの共同設計である。BroadcomはGoogleとのTPU契約に加え、Metaの複数世代MTIAも手掛けている。 (The Motley Fool)

#

したがって、

#
Broadcom
+
Google TPU
#

とすると同じHBMを二回数えてしまう。

#

#

44.Broadcom footprintとして別に見る

#

Google TPU:

#
4.147Eb\text{4.147Eb}
#

Meta:

#
約0.52~0.92Eb\text{約0.52~0.92Eb}
#

なので、少なくともGoogle+Metaだけで、

#
約4.7~5.1Eb\boxed{\text{約4.7~5.1Eb}}
#

のHBM bit consumptionにBroadcomが関与している可能性がある。

#

中心値は、

#
約4.85Eb\boxed{\text{約4.85Eb}}
#

である。

#

これはAMD全体の中心推定1.7Ebの、

#
4.851.7≈2.85\frac{4.85}{1.7}\approx2.85
#

倍になる。

#

しかもBroadcomにはOpenAIなど他のXPU customerも存在する。Broadcomは2026年第2四半期だけでAI semiconductor売上108億ドル、うちnetworking約40%、2027年AI semiconductor売上1000億ドル超を見込むとしている。 (The Motley Fool)

#

HBM需要の源泉として見れば、Broadcomはすでに非常に大きい。

#

#

45.HBM/acceleratorだけを見ると真実を見失う

#

一個当たりでは、

#
AcceleratorHBMMI455X432GBRubin288GBGoogle TPU v7192GBTrainium3144GB\begin{array}{|l|c|} \text{Accelerator}&\text{HBM}\cr\hline \text{MI455X}&\text{432GB}\cr\hline \text{Rubin}&\text{288GB}\cr\hline \text{Google TPU v7}&\text{192GB}\cr\hline \text{Trainium3}&\text{144GB}\cr\hline \end{array}
#

なので、

#
MI455X\text{MI455X}
#

が圧倒的にmemory-heavyである。 (AMD)

#

bit換算すれば、

#

MI455X

#
432GB×8=3.456Tb\text{432GB}\times8=\text{3.456Tb}
#

Rubin

#
288GB×8=2.304Tb\text{288GB}\times8=\text{2.304Tb}
#

TPU v7

#
192GB×8=1.536Tb\text{192GB}\times8=\text{1.536Tb}
#

である。

#

MI455XはRubinの1.5倍、TPUの2.25倍のHBMを使う。

#

しかし数量を掛けると逆転する。

#

#

46.一番重要な式

#

AIメモリ市場を見るなら、

#
HBM bit demand=HBM bit/accelerator×accelerator shipments\boxed{\text{HBM bit demand}=\text{HBM bit/accelerator}\times\text{accelerator shipments}}
#

で見る必要がある。

#

さらにfront-end waferまで含めるなら、

#
AI Compute=Wafer Capacity×Dies/Wafer×Yield×HBM availability×Package Yield\boxed{\text{AI Compute}=\text{Wafer Capacity}\times\text{Dies/Wafer}\times\text{Yield}\times\text{HBM availability}\times\text{Package Yield}}
#

となる。

#

この見方をすると、

#

AMD

#

1個をmemory-richにして差別化

#

NVIDIA

#

1個当たりmemoryを最適化しながら巨大volumeを出す

#

Google/Broadcom

#

ASICによってlogic wafer当たりの個数を増やし、数百万個を展開

#

という3つの戦略が理解できる。

#

#

47.NVIDIAのHBM削減はHBM需要減少を意味しない

#

例えば、

#

旧構成

#

100万GPU × 12 stacks

#
=1200万stack=\text{1200万stack}
#

新構成

#

200万GPU × 8 stacks

#
=1600万stack=\text{1600万stack}
#

なら、1GPU当たりHBMを33%減らしても、

#

HBM総需要は33%増える。

#

TrendForceも2027年HBM bit shipmentについて前年比50~60%程度の成長を予想しながら、Rubin UltraのHBM configuration削減を報じている。つまり「per-GPU削減」と「HBM市場成長」は両立する。 (TrendForce)

#

#

48.Google TPUの本当に恐ろしいところ

#

Google TPUが異常なのは単なるHBM需要量だけではない。

#

ASICはワークロードを絞れるため、巨大なgeneral-purpose GPUとは違うdie economicsを作れる。

#

しかもGoogle Ironwood自身が既にdual-chiplet architectureを採用しており、2つのchipletそれぞれが96GB HBMを持つ構造になっている。Google公式documentでも、この設計は製造効率とcost effectivenessを改善するためだと説明されている。 (Google Cloud Documentation)

#

つまりGoogle TPUも、

#
巨大monolithic ASIC
#

ではなく、

#
chiplet
+
chiplet
+
HBM
+
network
#

へ進んでいる。

#

ここへ将来CPU chipletまで入れば、

#

Vera Rubinと構造的にさらに似てくる。

#

#

49.GPUとASICの境界が消えつつある

#

最終的には、

#

NVIDIA

#
CPU
+
programmable GPU
+
HBM
+
NVLink
#

Google/Broadcom/AMD

#
CPU
+
custom XPU
+
HBM
+
D2D
#

AWS

#
CPU
+
Trainium
+
HBM
+
NeuronLink
#

となる。

#

違うのは「中央のacceleratorがどこまでprogrammableか」であり、

#

システムarchitectureそのものは似ていく。

#

これが今起きている最も大きな変化だと思う。

#

#

50.AMDにとってGoogle案件が本当なら何が最も重要か

#

売上だけではない。

#

AMDは、

#

MI300A

#

CPU+GPU+HBM

#

↓

#

MI455X

#

3D/chiplet GPU+大量HBM+rack

#

↓

#

Google TPU案件

#

他社ASIC+CPU+HBM+advanced packaging

#

という順で経験を積める可能性がある。

#

その次に、

#

MI500 / MI600

#

自社CPU+GPU/ASIC+階層型memory

#

へフィードバックできる。

#

つまりGoogle TPUはAMDにとって、

#
Vera Rubin型のCPU+XPU融合技術をSemi-Custom市場で学ぶ場
#

になる可能性がある。

#

この意味では、仮にGoogle案件そのものの売上がAMD全体から見てそれほど大きくなくても、戦略価値はかなり高い。

#

#

結論――競争の単位が「GPU」から「AI Factory」へ変わった

#

AMDとGoogle TPUの観測から始めると、最初は、

#
なぜGoogleがAMDなのか
#

という小さな疑問に見える。

#

しかし調べていくと、それはもっと大きな構造変化につながっている。

#

従来は、

#
GPU性能\text{GPU性能}
#

を競っていた。

#

次に、

#
GPU+HBM\text{GPU}+\text{HBM}
#

になった。

#

さらに、

#
GPU+HBM+NVLink\text{GPU}+\text{HBM}+\text{NVLink}
#

になった。

#

そして現在は、

#
CPU+GPU/ASIC+HBM+SRAM+ScaleUp+ScaleOut+Storage+Software\boxed{\text{CPU}+\text{GPU/ASIC}+\text{HBM}+\text{SRAM}+\text{ScaleUp}+\text{ScaleOut}+\text{Storage}+\text{Software}}
#

を一つのAI計算機として設計する競争へ移っている。

#

だからBroadcomはXPUにCPU coreを入れる。

#

GoogleはTPUとCPUを近づける可能性を探る。

#

NVIDIAはVeraとRubinをNVLink-C2Cで融合する。

#

AMDはEPYC、Instinct、Pensando、ROCm、Heliosを一つにまとめる。

#

そしてHBMも、

#
GPUに何GB載っているか
#

だけでは理解できなくなった。

#

本当に見るべきなのは、

#
HBM/accelerator×accelerator数量\boxed{\text{HBM/accelerator}\times\text{accelerator数量}}
#

である。

#

2026年の公開情報と外部予測を組み合わせると、主要AI acceleratorだけで年間約20~28Eb、中心値約24Eb、約3EB相当のHBMを新規搭載する可能性がある。

#

その中でGoogle TPU単独が約4.15Ebに達し、Rubin単独とほぼ同じHBM bitを消費する可能性があることは象徴的だ。

#

一方NVIDIAはBlackwellまで加えれば依然として圧倒的だが、その巨大なvolumeゆえに、Rubin UltraではHBMやSOCAMMを減らしてでも完成GPU数を最大化する必要が出てくる。

#

AMDは反対に、まだ相対的に小さいvolumeを利用して1GPU当たり432GBという大量HBMを与え、それを差別化要因にできる。

#

そしてAMDのシェアが上がれば、AMD自身もいずれ同じ問題に直面する。

#

だからMI500/MI600では、

#
HBM容量↑\text{HBM容量}\uparrow
#

だけではなく、

#
HBMに置かなければならないデータ量↓\text{HBMに置かなければならないデータ量}\downarrow
#

も同時に進む。

#

HBM、CPU DRAM、CXL memory、NVMe、external KV cacheを階層化しながら、本当にhotなデータだけを最速memoryへ置く。

#

これはNVIDIAもAMDもGoogleも最終的に向かっている方向である。

#

AI半導体の次の競争は、

#
誰が一番速いGPUを作るか
#

ではなく、

#
限られたlogic wafer、HBM wafer、CoWoS、電力、ネットワークから、最も多くの有効tokenを作れるAI Factoryを構築できるか
#

になりつつある。

#

そしてGoogle TPUの数百万個という規模は、その競争がすでに「NVIDIA対AMD」だけでは説明できない段階へ入ったことを示している。

#
#

特定銘柄の推奨・勧誘・投資助言を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

#
記事の記述・図・出典の対応を保持しています。引用には記事URLと段落リンクを添えられます。再利用の条件を確認する →