第5回 マイクロバンプとは何か――チップレットを物理的につなぐ微小接点
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本文に含まれる語句 HBM DRAM 帯域・データ移動 先端パッケージング 電力・給電 冷却 歩留まり 基板・材料 チップレット
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連載:巨大チップの限界を超える――UCIeとチップレット、3D半導体のすべて
#レチクル限界、Die-to-Die PHY、Hybrid Bonding、TSVから、3D V-Cache、Foveros Direct、SoIC
#11回で完了します
#https://note.com/atom_/m/m7cbf572534b8
#第5回 マイクロバンプとは何か――チップレットを物理的につなぐ微小接点
#チップレット同士は、どこでつながっているのか
#前回は、有機基板を使う2Dパッケージ、シリコンインターポーザーを使う2.5Dパッケージ、そしてダイを上下に重ねる3D積層について解説した。
#これらの構造では、Compute Die、I/O Die、HBM、キャッシュダイなどを、パッケージ基板やインターポーザーへ配置する。
#しかし、ダイを近くに置いただけでは電気信号は流れない。
#ダイの内部配線と、インターポーザーや別のダイの配線を、物理的に接続する端子が必要になる。
#その代表的な技術が、マイクロバンプである。
#チップレット内部回路
↓
金属パッド
↓
マイクロバンプ
↓
インターポーザー配線
↓
マイクロバンプ
↓
相手側チップレット#マイクロバンプは、
#- 電気信号
- クロック
- 電源
- グラウンド
を伝えると同時に、ダイを相手側の部品へ物理的に固定する役割を持つ。
#チップレット、高帯域メモリ、2.5Dパッケージ、従来型の3D積層を理解するうえで、マイクロバンプは基本となる接続技術である。
##
バンプとは何か
#半導体ダイの表面には、内部回路と外部を接続するための金属パッドが形成されている。
#ただし、平らな金属パッド同士を接触させるだけでは、安定した電気接続と機械的強度を確保できない。
#そこでパッド上へ、金属の突起を形成する。
#これがバンプである。
#ダイ内部の金属配線
│
金属パッド
│
バンプ
│
インターポーザー/基板#バンプは、従来のワイヤーボンディングで使われる細い金属線とは異なり、ダイの表面を下向きにして接続するフリップチップ実装で広く使われる。
#ワイヤーボンディング
ダイ上面 ─ 金属ワイヤー ─ 基板
フリップチップ
ダイ下面
● ● ● ● ● バンプ
────────
基板#フリップチップでは、ダイ表面に多数の端子を配置できるため、ダイの外周だけを使うワイヤーボンディングより、高いI/O密度を実現しやすい。
##
マイクロバンプとは何か
#マイクロバンプは、通常のフリップチップ用バンプを小型化し、より細かな間隔で配置した接続端子である。
#ただし、「何µm以下ならマイクロバンプ」とする世界共通の厳密な境界があるわけではない。
#現在の量産技術では、マイクロバンプの中心間隔であるバンプピッチは、30~50µm前後が代表的な範囲である。imecは、産業界で一般的なマイクロバンプピッチを約30~50µmとし、研究段階では10µmや5µmへの縮小が進められていると説明している。(imec)
#IntelのFoveros-S 2.5Dでは36µmピッチが示され、AmkorもシリコンパッケージやChip-on-Chip向けに30µm級の銅ピラー/マイクロバンプを提供している。(Intel)
#通常の比較的大きなバンプ
● ● ●
マイクロバンプ
● ● ● ● ● ● ● ●#ピッチを細かくすると、同じダイ面積やダイ辺長へ多くの端子を配置できる。
#そのため、
#- ダイ間のレーン数を増やす
- 帯域密度を高める
- 電源・グラウンド端子を増やす
- 1本当たりの信号速度を抑えながら総帯域を増やす
ことが可能になる。
##
マイクロバンプは「小さなはんだ玉」だけではない
#マイクロバンプは、説明上は小さなはんだ玉として描かれることが多い。
#しかし実際の先端パッケージでは、単純な球形のはんだだけでなく、銅ピラーとはんだキャップを組み合わせた構造が広く使われる。
#上側ダイ
────────────
金属パッド
UBM
銅ピラー
ニッケルなどのバリア層
薄いはんだキャップ
======== 接合部 ========
相手側パッド
────────────
インターポーザー#Amkorは、用途に応じて、
#- 銅+ニッケル+鉛フリーはんだ
- 銅+ニッケル+銅+鉛フリーはんだ
- 標準銅ピラー
- 微細ピッチ銅ピラー
- マイクロバンプ
など、複数の積層構造を提供している。(Amkor Technology)
#接合後のマイクロバンプは、必ずしも真円の球ではない。
#熱と圧力によってつぶれた樽型、短い柱型、上下の金属が一体化した形状になる場合もある。
##
マイクロバンプの基本構造
#1.ダイ側の金属パッド
#ダイ内部の最上層配線と接続された金属端子である。
#一般にアルミニウム系または銅系のパッドが使われるが、材料と構造は製造プロセスによって異なる。
#2.パッシベーション膜
#ダイ表面を湿気、汚染、機械的損傷から保護する絶縁膜である。
#バンプを形成する位置だけ、開口部を作る。
#保護膜 開口部 保護膜
────── ↓ ──────
金属パッド#3.再パッシベーション層
#必要に応じて、元の保護膜の上へポリマー層などを追加する。
#機械的応力を緩和したり、パッド位置を調整したりする役割を持つ。
#4.UBM
#UBMはUnder Bump Metallizationの略で、ダイの金属パッドとバンプの間に形成される複数の金属薄膜である。
#はんだ/銅ピラー
│
UBM
│
ダイ側パッド#UBMは主に、
#- パッドとの密着性を確保する
- 銅やはんだの拡散を抑える
- はんだが適切に濡れる表面を作る
- 電流をパッドへ広げる
- 接合部の機械的強度を確保する
役割を持つ。
#材料の組み合わせは、Ti、TiW、Cu、Niなど、製造方式によって異なる。AmkorのWLCSPでも、ダイのI/Oパッド上へUBMを追加し、その上へはんだバンプを形成する構造が採用されている。(Amkor Technology)
#5.銅ピラー
#電流と信号を運ぶ柱状の銅である。
#銅ピラーは、はんだだけのバンプよりも形状を維持しやすく、端子を細かいピッチで配置しやすい。
#銅は電気抵抗が低く、高電流用途でのエレクトロマイグレーション性能にも優れる。Amkorは銅ピラーの特徴として、微細ピッチ、高い電流容量、優れたエレクトロマイグレーション性能を挙げている。(Amkor Technology)
#6.はんだキャップ
#銅ピラーの先端へ、薄い鉛フリーはんだを形成する。
#加熱すると、このはんだ部分が溶け、相手側パッドと接合する。
#代表的にはSnAg系などが使われるが、材料構成は用途や製造条件によって異なる。
##
銅ピラーを使う理由
#すべてをはんだで作る場合、加熱したときにバンプ全体が変形しやすい。
#隣接するバンプとの距離が小さいと、溶けたはんだ同士が接触し、短絡する危険がある。
#正常
● ● ●
はんだブリッジ
●═● ●
短絡#銅ピラーを使うと、接続部の高さと横方向の広がりを制御しやすくなる。
#銅ピラー+薄いはんだ
│●│ │●│ │●│#これにより、
#- 細かなピッチ
- 接合高さの安定
- はんだ量の削減
- 高い電流容量
- 配線密度の向上
を実現しやすくなる。
#ただし銅ピラー自体は硬いため、温度変化による応力がダイや低誘電率配線層へ伝わりやすくなる場合がある。そのため、バンプ形状、パッド、アンダーフィル、基板材料を一体として設計する必要がある。
##
マイクロバンプはどのように作られるのか
#代表的な工程を単純化すると、次のようになる。
#ダイ上のパッドを開口
↓
UBMを形成
↓
フォトレジストでバンプ位置を定義
↓
銅をめっきしてピラーを形成
↓
ニッケルやはんだを形成
↓
レジストを除去
↓
不要なUBMを除去
↓
ウェハーを検査・切断#銅ピラーやはんだは、電解めっきなどによってウェハー上へ一括形成される。
#個々のダイへ切断する前にバンプを形成することで、多数の端子を高い位置精度で製造できる。
##
ダイ同士を接合する工程
#マイクロバンプを形成したダイは、インターポーザーや相手側ダイへ位置合わせして接合する。
#① ダイと相手側パッドを清浄化
↓
② フラックスや接合材料を供給
↓
③ マイクロバンプを精密に位置合わせ
↓
④ 加熱・加圧
↓
⑤ はんだを接合
↓
⑥ 冷却
↓
⑦ アンダーフィルを形成#主な接合方法には、次のものがある。
#リフロー接合
#パッケージ全体を加熱し、はんだを溶融させる。
#溶けたはんだの表面張力によって、ある程度の位置ずれを自己修正できる。
#ただし、ピッチが細かくなると、隣接バンプとの短絡やダイのずれが問題になる。
#熱圧着接合
#Thermo-Compression Bonding、TCBと呼ばれる。
#ダイを相手側へ押し付けながら、熱を加えて接合する。
#圧力
↓↓↓
上側ダイ
● ● ● ●
────────
下側部品
↑ 加熱#細かなピッチのバンプを、1個のダイ単位で精密に位置合わせできる。
#一方で、温度差によるダイや基板の膨張、反り、接合時間が課題になる。
#Intelは、微細なはんだバンプを加熱・接合する際、温度差によるパッケージの膨張や反りが、位置ずれや隣接バンプとの短絡を引き起こし得ると説明している。(community.intel.com)
##
アンダーフィルとは何か
#接合後のダイとインターポーザーの間には、狭い隙間が残る。
#その隙間へ樹脂を充填するのがアンダーフィルである。
#上側ダイ
────────────
● 樹脂 ● 樹脂 ●
────────────
インターポーザー#アンダーフィルの主な役割は、
#- バンプに集中する機械的応力を分散する
- ダイと基板の熱膨張差を吸収する
- 温度サイクルによる疲労を抑える
- 湿気や衝撃から接続部を守る
- ダイを機械的に固定する
ことである。
#シリコン、銅、はんだ、有機基板は、それぞれ温度による膨張率が異なる。
#加熱
↓
基板は大きく膨張
シリコンは比較的小さく膨張
↓
マイクロバンプに横方向の力#この力を繰り返し受けると、バンプの亀裂、界面剥離、金属疲労につながる。
#TSMCのパッケージ信頼性研究でも、アンダーフィル材料とパッケージ設計が、C4、BGA、マイクロバンプの熱機械信頼性に影響することが示されている。(research.tsmc.com)
#キャピラリー・アンダーフィル
#接合後、ダイの端から液体樹脂を流し込み、毛細管現象によってバンプ間へ広げる。
#モールド・アンダーフィル
#樹脂による封止とアンダーフィル形成を一体化する。
#TSMCはモールド・アンダーフィルについて、材料費、処理能力、信頼性の面で利点がある一方、硬化時の収縮やパッケージ反りの管理が重要だとしている。(research.tsmc.com)
#非導電性ペースト
#熱圧着接合の前に樹脂を塗布し、接合と樹脂硬化を同時に進める方式もある。
#Amkorは、微細ピッチ接続に熱圧着と非導電性ペーストを組み合わせる方式や、リフローとキャピラリー・アンダーフィルを組み合わせる方式を提供している。(Amkor Technology)
##
2.5Dパッケージでのマイクロバンプ
#シリコンインターポーザーを使う2.5Dパッケージでは、ロジックダイやHBMをインターポーザーへ接続するためにマイクロバンプを使う。
#HBM Compute Die
┌────┐ ┌────────┐
└●●●●┘ └●●●●●●●┘
════════════════════════
シリコンインターポーザー#信号経路は次のようになる。
#Compute Die
↓
マイクロバンプ
↓
インターポーザー上の微細配線
↓
マイクロバンプ
↓
HBMまたは別チップレット#インターポーザー上には有機基板より細かな配線を形成できるため、ダイの下へ多数のマイクロバンプを配置できる。
#TSMCの初期CoWoS試作例では、ロジックダイとシリコンインターポーザーの間に45µmピッチのマイクロバンプを使用し、インターポーザーと有機基板の間には180µmピッチのC4バンプを使用していた。これは一つの試作例であり、実際の寸法は製品世代や設計によって異なる。(3DFabric)
##
HBMでのマイクロバンプ
#HBMは、複数のDRAMダイを上下に積み重ねたメモリーである。
#各DRAMダイの内部をTSVが貫通し、ダイの境界面ではマイクロバンプが接続を担う構造が広く使われてきた。
#DRAMダイ
│ TSV
│
● ● ● ● マイクロバンプ
────────
DRAMダイ
│ TSV
│
● ● ● ●
────────
ベースダイ#ここでは、
#- TSV:1枚のダイ内部を上下に貫通
- マイクロバンプ:別々のダイの表面を接続
という役割分担になる。
#SamsungはHBMを、複数のメモリーダイをTSVで垂直接続した構造として説明している。また、マイクロバンプ方式の3DICをHBM向けに大量生産してきた実績を示している。(Samsung Semiconductor Global)
##
TSVとの違い
#マイクロバンプとTSVは、一緒に使われることが多いが、別の技術である。
#TSV
=1枚のシリコンを貫通する縦配線
マイクロバンプ
=2つの部品の表面をつなぐ接点#技術存在する場所主な役割TSVダイ内部ダイの上面と下面を接続マイクロバンプダイ境界面別のダイやインターポーザーと接続インターポーザー配線中間基板内部横方向に信号を伝送Die-to-Die PHYダイ内部電気信号を送受信
#HBMや3D積層では、TSVとマイクロバンプを直列に組み合わせる。
#上側ダイの回路
↓
TSV
↓
金属パッド
↓
マイクロバンプ
↓
下側ダイの金属パッド
↓
下側ダイの回路##
C4バンプとの違い
#C4はControlled Collapse Chip Connectionの略で、ダイまたはインターポーザーをパッケージ基板へ接続する比較的大きなフリップチップ端子である。
#チップレット
│
マイクロバンプ
│
インターポーザー
│
C4バンプ
│
パッケージ基板#マイクロバンプよりピッチが粗く、比較的大きな電流や外部信号を扱う。
#ただし、C4とマイクロバンプの呼び分けには、製品や企業による差がある。単純な寸法だけでなく、接続する階層と用途によって区別される。
##
BGAボールとの違い
#BGAはBall Grid Arrayの略で、完成した半導体パッケージをマザーボードへ取り付けるためのはんだボールである。
#チップレット
│
マイクロバンプ
│
インターポーザー
│
C4
│
パッケージ基板
│
BGAボール
│
マザーボード#相対的な大きさは、一般に次の順になる。
#小さい
マイクロバンプ
↓
C4バンプ
↓
BGAボール
大きい#マイクロバンプはパッケージ内部の高密度接続に使われ、BGAはパッケージ全体をプリント基板へ接続する。
##
Die-to-Die PHYとの関係
#マイクロバンプ自体は、通信規格でも送受信回路でもない。
#Die-to-Die PHYが生成した電気信号を、ダイの外へ通す端子である。
#演算回路
↓
Die-to-Die PHY
↓
ダイ内部配線
↓
金属パッド
↓
マイクロバンプ
↓
インターポーザー#したがって、
#- PHY:信号を作り、受信する回路
- マイクロバンプ:信号が通過する接点
- インターポーザー:信号を横方向へ運ぶ配線
- UCIe:通信方法を定める規格
という違いになる。
#UCIeのようなチップレット間通信で同じダイ辺長からより大きな帯域を得るには、PHYだけでなく、バンプピッチとパッケージ配線密度も重要になる。
#Die-to-Die PHYについては後の回で詳しく解説する。
##
バンプピッチと帯域の関係
#バンプピッチとは、隣接するバンプの中心から中心までの距離である。
#●────●
←ピッチ→#例えば、同じ1mm幅へバンプを並べる場合、ピッチが小さければ配置できる端子数が増える。
#100µmピッチ
● ● ● ●
50µmピッチ
● ● ● ● ● ● ●#端子が増えれば、
#- データ用レーン
- クロック
- 電源
- グラウンド
- 予備レーン
- テスト信号
を多く配置できる。
#ただし、すべての端子をデータ信号に使えるわけではない。
#高速信号を安定させるには、信号端子の周囲へグラウンド端子を配置し、電源電圧を維持するために多数の電源端子も必要になる。
#そのため、接続密度は単純な「バンプ数=データレーン数」では決まらない。
##
マイクロバンプの電気的な利点
#マイクロバンプは、外部SerDesが通る基板配線やコネクタと比べれば、非常に短い接続である。
#そのため、
#- 配線抵抗を小さくしやすい
- 寄生容量を抑えやすい
- 寄生インダクタンスを抑えやすい
- 信号反射を減らしやすい
- 小さな信号振幅で通信しやすい
- 1bit当たりの通信電力を下げやすい
という利点がある。
#ただし、マイクロバンプにも高さと金属界面があるため、完全なゼロ抵抗・ゼロ容量ではない。
#接続数が数千、数万と増えれば、個々の小さな寄生成分もパッケージ全体の電源・信号品質へ影響する。
##
マイクロバンプの限界
#1.ピッチ縮小
#バンプ同士を近づけると、次の問題が起こる。
#- はんだ同士の短絡
- 接合位置のずれ
- はんだ量のばらつき
- アンダーフィルが入りにくい
- 接合部の検査が難しい
- 基板やダイの反りの影響が大きくなる
粗いピッチ
● ● ●
多少の位置ずれを許容
細かいピッチ
● ● ● ● ●
わずかなずれで短絡#2026年にimecが公開した微細RDL向け設計基盤では、20µmピッチのマイクロバンプが提供されている。一方、さらに細かな領域ではHybrid Bondingが有力になる。(imec)
#2.接合部の抵抗
#マイクロバンプには、
#- 銅
- ニッケル
- はんだ
- 金属間化合物
- パッド
- UBM
など複数の界面が存在する。
#接合時や長期使用中に金属間化合物が成長すると、抵抗や機械的性質が変化する。
#3.エレクトロマイグレーション
#細い導体へ大きな電流を流すと、電子の流れによって金属原子が移動する。
#高電流
↓
金属原子が徐々に移動
↓
空隙や金属の偏り
↓
抵抗増加・断線#バンプを小さくするほど、同じ電流でも単位面積当たりの電流密度が高くなる。
#そのため、電源用バンプを複数配置したり、銅ピラーの直径や材料構成を最適化したりする。
#4.熱膨張差
#シリコン、インターポーザー、有機基板、樹脂、銅、はんだでは、熱膨張率が異なる。
#電源投入と停止を繰り返すと、マイクロバンプへ周期的なせん断応力が加わる。
#加熱・膨張
↓
冷却・収縮
↓
繰り返し
↓
疲労亀裂#5.検査の難しさ
#バンプはダイの下に隠れる。
#外から目視できないため、
#- X線検査
- 超音波検査
- 電気テスト
- 断面解析
- 自己診断回路
などが必要になる。
#微細バンプを直接プローブすることも難しく、imecは多数の40µm以下のバンプを持つ3Dダイについて、積層前テストが大きな課題になると説明している。(imec)
##
Known Good Dieが重要になる理由
#複数のチップレットを組み立てた後に、1個のダイが不良だと判明すると、完成したパッケージ全体を失う可能性がある。
#良品ダイ+良品ダイ+不良ダイ
↓
完成パッケージ全体が不良#そのため、組み立て前に正常動作を確認したKnown Good Dieだけを使用することが重要になる。
#しかしダイ単体では、完成パッケージと同じ電源、冷却、接続条件を再現できない場合がある。
#また、マイクロバンプが細かくなるほど、テスト装置から個別端子へ接触することが難しくなる。
#チップレット時代には、
#- ダイ内部の自己診断
- ループバックテスト
- 予備レーン
- 故障バンプの切り離し
- パッケージ後のリンクトレーニング
といった機能も重要になる。
##
マイクロバンプはなくなるのか
#マイクロバンプには微細化の限界があるため、高密度な3D積層ではHybrid Bondingへの移行が進んでいる。
#マイクロバンプ
ダイ
● ● ● ●
────────
ダイ
Hybrid Bonding
ダイ
Cu SiO₂ Cu
│ │
Cu SiO₂ Cu
ダイ#IntelのFoveros Direct 3Dは、Cu-to-Cu Hybrid Bondingによって10µm未満のピッチを実現し、従来のマイクロバンプより高い接続密度を提供する。(Intel)
#Samsungも、量産実績のあるマイクロバンプ型3DICに対し、バンプ間の隙間をなくし、接続密度と熱特性を向上させるバンプレスHybrid Copper Bondingを次世代方式として位置付けている。(Samsung Semiconductor Global)
#ただし、マイクロバンプがすべてHybrid Bondingへ置き換わるわけではない。
#Hybrid Bondingには、
#- 極めて高い表面平坦度
- 接合面の清浄度
- 高精度な位置合わせ
- 銅表面の酸化管理
- 接合前の良品検査
- 高い製造設備コスト
が必要になる。
#一方、マイクロバンプは、
#- 量産実績が多い
- 製造条件の許容範囲が比較的広い
- 異なるサイズのダイを接続しやすい
- コストを抑えやすい
- 一定の機械的な高さを持つ
という利点がある。
#今後も用途に応じて、
#超高密度・極短距離3D接続
→ Hybrid Bonding
一般的な2.5D・3D接続
→ マイクロバンプ
インターポーザーと基板
→ C4
パッケージとマザーボード
→ BGA#という使い分けが続くと考えられる。
##
マイクロバンプの本質
#マイクロバンプは、単なる小型のはんだ端子ではない。
#そこには、
#- ダイ内部配線
- 金属パッド
- パッシベーション
- UBM
- 銅ピラー
- バリア金属
- はんだ
- アンダーフィル
- インターポーザー
- 熱圧着工程
- 検査技術
が組み合わされている。
#電気設計
+
材料設計
+
機械設計
+
熱設計
+
製造工程
↓
信頼できるマイクロバンプ接続#バンプが1個だけ正常でも意味はない。
#数千から数万の接続が、温度変化と高電流に耐えながら、長期間にわたり同時に動作しなければならない。
#そのためマイクロバンプは、小さな部品でありながら、チップレットパッケージ全体の性能と歩留まりを左右する重要な技術である。
##
今回の要点
#- マイクロバンプは、ダイとインターポーザー、または上下のダイを電気的・機械的に接続する微小端子である。
- 単純なはんだ球だけでなく、銅ピラー、バリア層、はんだキャップ、UBMなどから構成される。
- UBMは、ダイ側パッドとバンプを接続し、密着、拡散防止、はんだ濡れ性を確保する金属層である。
- 接合には、リフローや熱圧着接合が使われる。
- アンダーフィルは、熱膨張差による応力を分散し、バンプの疲労や剥離を抑える。
- HBMでは、ダイ内部をTSVが貫通し、ダイ境界面をマイクロバンプが接続する。
- マイクロバンプ、C4、BGAは、接続するパッケージ階層と端子サイズが異なる。
- ピッチを細かくすると帯域密度を高められるが、短絡、位置合わせ、電流密度、熱疲労、検査が難しくなる。
- 最高密度の3D接続ではHybrid Bondingへの移行が進むが、マイクロバンプはコストと量産性の面から今後も使われる。
次回は、はんだバンプを使わず、銅パッドと絶縁膜を直接接合するHybrid Bondingを解説する。
#なぜ「Hybrid」と呼ばれるのか、Cu-to-Cu接合と誘電体接合、CMP、銅のディッシング、表面平坦度、接合温度、位置合わせ、マイクロバンプとの性能差、SoICやFoveros Directとの関係を詳しく見ていく。
#















