onsemiは2030年までに「Grid-to-Core+Physical AI」企業になれるのか
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onsemiは2030年までに「Grid-to-Core+Physical AI」企業になれるのか
#2026年後半~2028年、2028~2030年の伸びしろをTAM・技術・AIDC電源BOMから読む
#AI半導体というと、GPU、HBM、先端パッケージング、光通信に目が向きやすい。
#しかしGPUラックが100kWから数百kW、そして1MW級へ向かうにつれて、もう一つの巨大市場が前面に出てきた。
#電力変換である。
#発電所や送電網から届いた電力をGPUが使う1V未満まで落とすには、
#Grid→ SST / AC-DC→ 800VDC→ DC/DC→ 12V / 6V→ VRM→ GPU Core
#という複数の電力変換が必要になる。
#この市場で興味深い企業の一つがonsemiだ。
#従来のonsemiは、
#Automotive
#Si MOSFET
#IGBT
#SiC
#Image Sensor
#を中心とする車載・産業半導体IDMだった。
#しかし2025~2026年に、
#SiC JFET
#GaNEXUS
#Vertical GaN-on-GaN
#Treo 65nm BCD
#Vcore Power
#Synaptics買収計画
#が加わった。
#そのため現在のonsemiを見る際には、
#「EV向けSiCメーカー」
#ではなく、
#「GridからGPU Core、さらにSensorからPhysical AIまでを取りに行こうとしている企業」
#として見る必要がある。
#ただし、今回AIDCのBOMを詳しく調べ直すと、もう一つ重要なことが分かった。
#AI電源半導体の最大の利益プールは、SSTよりもGPU直近のVRM/Rack-to-Coreである可能性が高い。
#この観点では、現在のonsemiはInfineon、MPS、Renesasほど完成していない。
#したがってonsemiの魅力は「今一番強いこと」ではなく、
#2026~2030年に最大TAMへシェアを広げられる余地
#にある。
#1.2026年Q2――onsemiは循環回復とAI成長が重なり始めた
#2026年Q2の売上高は16.035億ドル。
#前年同期比+9%、前四半期比+6%となった。
#Non-GAAPでは、
#となっている。FCF Marginは前年同期の約7%から約27%へ改善した。 (onsemi)
#事業別ではPower Solutions Groupが8.29億ドル、前年比+19%と最も強く、AMGは5.457億ドル、ISGは2.288億ドルだった。 (onsemi)
#エンド市場別では、
#となる。「Other」にはAI Data Center、Computing、Networking、Communicationsなどが含まれる。Intelligent Power売上も7.481億ドルから8.398億ドルへ+12.3%増えた。 (onsemi)
#つまり足元の回復は「EVだけ」ではない。
#onsemi自身もAI Data Centerを最も成長率の高い事業と位置付け、2026年売上高が前年比2倍超になるとの予想へ引き上げた。NVIDIA MGXでの採用拡大、Great WallのAI Data Center platformでEliteSiC、Si MOSFET、ControllerのDesign Winも公表している。 (onsemi)
#2.Q3ガイダンス――2026年後半は売上より粗利益率を見たい
#Q3ガイダンスは、
#である。 (onsemi)
#特に重要なのはGMだ。
#Q2 39.3%→ Q3中央値41%
#まで改善する。
#onsemiが掲げる長期モデルは、
#売上CAGR 10~12%GM 53%Operating Margin 40%FCF Margin 25~30%
#である。これは2030年の正式ガイダンスではなく長期Target Modelだが、現在の39~41%と53%の差そのものがonsemiの利益成長余地でもある。 (Investing.com)
#したがって2026~2028年は、売上成長だけでなく、
#Fab稼働率回復+高付加価値Power+Treo+AI+Synaptics
#によってGMがどこまで上昇するかが重要になる。
#3.onsemiはFablessではない――「選択的IDM」が基本構造
#onsemiは自社で設計だけをする企業ではない。
#2025年売上構成はAutomotive 51%、Industrial 28%、Other 21%。Power Semiconductorでは自社の製造プロセス、Packaging、Module技術まで持つIDMであり、SiCも垂直統合型の製造能力を持つ。 (onsemi)
#この点はPower Semiconductorでは強い。
#SiCやGaNでは、
#Wafer→ Epitaxy→ Device process→ Packaging→ Thermal design→ Gate drive→ Reliability
#の全てが性能に影響するからだ。
#一方でIDMには固定費という弱点がある。
#onsemiはFab Rightを進め、2026年にはTarlacとMountain Top拠点の整理を発表した。これによるコスト削減は年間約3,500万ドル、2027年から効果が始まり2028年にフル寄与する予定である。 (onsemi)
#つまりonsemiは、
#全部自社で作るHeavy IDM
#ではなく、
#差別化プロセスを内製し、非戦略工程は外部も使うSelective IDM
#へ移行している。
#4.2030年のTAMをまず俯瞰する
#onsemiが2026年Q2のInvestor資料で示したStandaloneの2030年TAMは約2,130億ドル。
#主な成長市場は以下である。数値はonsemiと市場データを基にした会社側推計であり、市場調査会社による統一規格のTAMではない。 (Investing.com)
#この6市場を足しても約1,695億ドルなので、2,130億ドル全体を網羅しているわけではない。
#またTreoの360億ドルTAMは自動車、AIDC、Industrialなどを横断するTechnology TAMなので、上の市場TAMへ単純加算してはいけない。 (Investing.com)
#さらにSynaptics買収が成立すると、onsemiは約300億ドルの追加TAMによって2030年TAMを2,430億ドルへ拡大するとしている。 (onsemi)
#5.最大TAM① EV――$63.5B
#EVは2030年でもonsemi最大の単独市場である。
#狙える部品は、
#Traction InverterOBCDC/DCBattery Disconnect48V architectureMotor controlZonal PowerImage Sensor / ADAS
#まで広い。
#特にEliteSiCは400V→800/900V化で恩恵を受けやすい。
#しかしEV TAMについては、「TAM成長=onsemi利益成長」とは限らない。
#最大リスクはSiC ASP低下である。
#SiCにはInfineon、ST、ROHM、中国勢など多数の競合がいる。量産Capacityが増えれば、SiC die単体は次第にCommodity化する可能性がある。
#したがってonsemiに必要なのはSiC MOSFET単体ではなく、
#SiC+Module+Driver+Controller+Sensor
#へContentを広げることになる。
#6.最大成長市場② AI Data Center――$47.5B
#AIDCはonsemiの会社定義では2030年475億ドル、2026~30 CAGR 72%と最も成長率が高い。 (Investing.com)
#ただし、この数字をそのまま「Power Semiconductor市場475億ドル」と読んではいけない。
#TAMには定義差があるからだ。
#RenesasがArete Researchを引用した2026 Capital Market Day資料では、より狭いAI Infra & Compute Power TAMは2030年に約270~280億ドル規模である。グラフを読み取ると、その中で最大なのがVRMで約165~170億ドル、AC/DCが約30億ドル、IBCが約15億ドル、その他Power/Controlが約60億ドル前後になる。これは公表チャートからの概算値である。 (Renesas Electronics)
#したがって、
#onsemi広義AIDC TAM:$47.5B
#と、
#AI Infra & Compute Power:約$27~28B
#は矛盾しない。
#Scopeが違うのである。
#7.さらに狭くすると「WBGだけで約30億ドル」という見方もある
#Navitasの社内市場モデルでは、2030年AIDCのWide Bandgap / Power Semiconductor機会を約30億ドルと見る。
#その中で800V architecture関連は約25.6億ドルという試算になっている。
#これは、
#SST800V High Voltage conversionIntermediate conversion
#などGaN/SiCに寄った狭い市場であり、VRMのDigital Controllerや低電圧SPS全体を含まない。
#つまりTAMは、
#広義AIDC:$47.5B
#↓
#Power Management:$27~28B
#↓
#WBG中心:約$3B
#とScopeを狭めるほど小さくなる。
#AIDC銘柄を比較するときは、この階層を混ぜてはいけない。
#8.Advanced Safety――$19.4B
#Advanced Safetyの2030 TAMは194億ドル、CAGR 16%。 (Investing.com)
#onsemiはここでImage Sensorという既存の強い基盤を持つ。
#現在の強みは、
#Automotive CameraADASViewingDriver monitoringImage sensing
#であり、今後SynapticsのEdge Computeが加われば、
#Sense → Compute
#を一社内へ近づけられる。
#Power Semiconductorだけでは作りにくいPhysical AIのシステムContentを増やせる市場である。
#9.Factory Automation――$13.7B
#2030 TAMは137億ドル、CAGR 9%。 (Investing.com)
#ここでは、
#MOSFETIGBTSiCGaNMotor DriverPosition SensorImage SensorTreo Analog
#が横断的に使われる。
#そしてSynapticsが加わることで、
#Edge AI processorWireless connectivityHMITactile sensing
#まで広げられる。
#AIDCとは異なり1台当たりPower Semiconductor Contentは小さくても、ロボット・工場設備・Humanoidなど台数の広がりを取れる市場である。
#10.Energy Infrastructure――$11.4Bだが成長率は24%
#2030 TAMは114億ドルとEVやAIDCより小さいが、CAGRは24%と非常に高い。 (Investing.com)
#この市場はonsemiとのTechnology Fitがかなり良い。
#Solar inverterEnergy StorageFast ChargerMicrogridSolid State Circuit BreakerSST
#では高耐圧SiCが直接使われる。
#さらにvGaNが1,200V級で商用化できれば、SiCとGaNを用途ごとに使い分けられる。
#AIDCの800V化とGrid近代化は別市場ではなく、同じHigh Voltage Power Technologyを共有する。
#ここがonsemiの強みになる。
#11.Aerospace / Defense / Security――$14B
#2030 TAMは140億ドル、CAGR 9%。 (Investing.com)
#この市場では小型・高効率だけでなく、
#高温高耐圧ReliabilityRuggedness
#が重要になる。
#onsemiはvGaNの用途としてAerospace / Defenseも明示している。Vertical GaNはGaN基板上で電流を縦方向に流し、700V/1,200V品をEarly Access CustomerへSampling中である。 (onsemi)
#量は自動車やAIDCほど大きくないが、単価・Qualification・供給期間という意味では利益率を作りやすい市場になり得る。
#12.技術① EliteSiC――現在のonsemi最大のPower Moat
#Power Semiconductor全体の2024年市場はROHMが引用するデータで約277.5億ドル。
#企業別売上は、
#Infineon:$6.617Bonsemi:$2.829BST:$2.216BROHM:$0.819B
#だった。単純計算すると、
#Infineon約23.8%onsemi約10.2%ROHM約3.0%
#となる。これはAIDC限定ではなく、Power Discrete/Device全体の市場シェアである。MPSやRenesasのIntegrated Power ICの強さを十分に反映しないことにも注意が必要だ。 (ROHMFS)
#それでもonsemiが「小さなSiC Startup」ではなく、世界2位級のPower Device製造基盤を持つことは重要である。
#onsemi自身もSi、SiC、GaNを設計・製造し、bare die、discrete、moduleまで供給している。 (onsemi)
#13.技術② SiC JFET――SSTよりPSU・Protectionで効いてくる
#Qorvoから取得したSiC JFETは、
#AI PSUSolid State Circuit BreakerBBUHV Protection
#との相性が良い。
#AIDC Power Treeで考えると、
#SSTだけを狙う技術ではなく、800V Distribution全体のProtectionとSwitching
#へ入れる点が重要になる。
#これによってonsemiは単なるTraction Inverter用SiCメーカーからGrid-to-Rackへ広がった。
#14.技術③ GaNEXUS――40~650Vを埋める
#2026年6月に発表したGaNEXUSは40~650Vをカバーし、AI Data Center、Robotics、Industrial Infrastructureを主要用途としている。 (onsemi)
#これは、
#650V級→ PSU / High-ratio converter
#100V以下→ 48V IBC / Motor / low-voltage conversion
#へ使える。
#つまりEliteSiCだけでは取りにくかった高周波Power Conversionを補完する。
#15.技術④ Vertical GaN-on-GaN――最大のTechnology Option
#onsemiのvGaNは一般的なGaN-on-Siと異なり、
#GaN基板上にGaNデバイスを形成し、電流を縦方向に流す。
#700Vと1,200V品をSampling中で、130件超の関連Patentを持つ。
#会社側は商用横型GaNより約3分の1のDevice Size、Power Conversion Lossを最大約50%削減できる可能性を主張している。 (onsemi)
#狙いの一つが、
#800VDC → 12V / 6V
#である。
#ただしこれは2026年時点では実証済みMoatではない。
#Sampling→ Qualification→ Yield→ Cost→ Volume shipment
#を経なければ本当の競争力は分からない。
#したがって2027~2028年の最重要KPIになる。
#16.技術⑤ Treo――利益率を変える可能性がある
#Treoは65nm BCDで、
#BipolarCMOSDMOS
#を統合し、1~90Vに対応するAnalog / Mixed-Signal Platformである。 (onsemi)
#高密度Digital+ Precision Analog+ High Voltage Power
#を同じPlatformで統合できるため、
#Gate DriverControllerProtectionPMICSensor InterfaceCommunication
#を作れる。
#会社資料ではTreoの横断TAMを360億ドルとする。 (Investing.com)
#これはかなり重要だ。
#Discrete SiCだけを大量に売るより、
#Power FET+Controller+Analog+Sensor
#へ半導体Contentを広げた方が収益性は高くなりやすい。
#17.技術⑥ Vcore――onsemi最大の弱点を埋める買収
#onsemiは2025年10月、Aura SemiconductorからVcore Power Technologyを取得した。
#目的は明確で、
#Grid-to-Core
#である。 (onsemi)
#しかしここは注意が必要だ。
#Vcore IPを持つことと、
#NVIDIAAMDGoogleBroadcom Custom ASIC
#で大規模Shareを取ることは別である。
#現時点ではMPS、Renesas、Infineonの方がGPU Core側で実績が明確だ。
#したがってVcoreは現在のMoatではなく、
#onsemi最大のShare Gain Option
#と見る方が正しい。
#18.Synaptics――Power企業からPhysical AI企業へ
#2026年6月、onsemiはSynapticsを約70億ドルの株式交換で買収する契約を発表した。
#完了予定は2027年半ば。
#TAMを300億ドル拡大し、Combined TAMを2,430億ドル、年間Synergyを約2億ドルとする計画だ。 (onsemi)
#SynapticsのFY2026売上高は11.972億ドル、前年比+11.4%。Core IoTは3.897億ドルで+43.1%だった。 (Synaptics Incorporated)
#onsemiの、
#PowerSenseControl
#へ、
#Synapticsの、
#Connected ComputeWirelessHMIEdge AI
#を加える。
#その結果、
#Sense → Decide → Act → Adapt
#というPhysical AI Loopを狙う。 (onsemi)
#これは2026~2028年より、2028~2030年以降のStoryとして見るべきだろう。
#19.AIDC電源ツリーを正しく並べる
#ここで電源構成を整理する。
#「800VDC→SST→PSU→48V IBC」という順番ではない。
#SSTは800VDCを作る前段にある。
#現在型は概ね、
#Grid / MV AC↓Transformer↓480VAC↓PSU / Power Shelf↓48/54VDC↓IBC↓12V / 6V↓VRM↓<1V GPU
#となる。
#一方NVIDIA KyberのNative 800V構成では、
#MV AC
#↓
#SST / Central Rectifier
#↓
#800VDC
#↓Protection / BBU / Hot Swap↓
#High-ratio DC/DC
#↓
#12V
#↓
#VRM
#↓
#<1V GPU
#へ変化する。
#NVIDIAは800Vをcompute nodeまで直接運び、GPU直近で64:1 LLCを使って12Vへ降圧する設計を示している。 (NVIDIA Developer)
#20.つまり48V IBCは長期的には中抜きされる可能性がある
#これは2028~2030年を見るうえで非常に重要である。
#現在、
#54V→ 12V→ GPU
#に必要なIBCが、
#800V→ 12V→ GPU
#となれば不要になる。
#したがって、
#「AIラック電力が10倍になるから48V IBCも10倍になる」
#とは限らない。
#一方で、
#12V / 6V → <1V
#は消えない。
#GPU Coreを800Vや12Vでは動かせないからである。
#このため長期的に最も安定して残るPower Stageの一つがVRMとなる。
#21.GPU直近VRMが最大の利益プールになる可能性
#RenesasがArete Researchを引用した2030年AI Infra & Compute Power TAMを見ると、約270~280億ドルのうち約6割がVRMと読み取れる。 (Renesas Electronics)
#次世代AI Boardの例では、
#GPU Power:
#Digital Controller >10個Smart Power Stage >100個
#48V IBC:
#Digital Controller >5個MOSFET >30個
#とされている。 (Renesas Electronics)
#この構造がVRM市場を強くする。
#GPU台数が増える×GPU電力が増える×Phase数・Power densityが増える×Module ASPが上がる
#からだ。
#22.VRMは集積化してもTAMが減るとは限らない
#今後、
#Discrete SPS↓Dual-phase↓Vertical Power Stage↓Power Tower↓Integrated Voltage Regulator
#へ集積化する。
#部品数は減る。
#しかし1個当たりASPは上昇する。
#Renesasは自社ロードマップで、Standard SPSを1とした場合、
#Dual SPS:1.5倍超Integrated Vertical Power Stage:3倍超Quad-phase Power Tower:8倍超
#というValue upliftを示している。
#つまり、
#Units ↓
#でも、
#Value per unit ↑↑
#となり得る。
#したがってRack-to-Coreは非常に魅力的な市場である。
#23.なぜ800V→12Vになるほど集積化が重要になるのか
#理由は主に三つある。
#第一は寄生インダクタンスだ。
#高速Switchingでは、
#V = L × di/dt
#によって配線のわずかな寄生Inductanceが電圧Overshootを作る。
#GaNを数百kHz~MHzで使う場合、
#FETDriverCapacitor
#を離してPCB配線するとGaN本来のSwitching Speedを使い切れない。
#ModuleやSiP内部へ近接配置するほど有利になる。
#第二は変圧比だ。
#800V→12Vは約67:1。
#LLC Resonant Converterでは、
#TransformerFETResonant capacitorInductor
#の寄生成分まで回路特性になる。
#そのためPower Device単体より、
#Power Stage+Driver+Control+MagneticsをCo-designできる企業
#が強くなる。
#第三は電源段数そのものの減少だ。
#TIは既に、
#800V→ 6V→ <1V
#という2-stage architectureをNVIDIA向けに示している。
#800→6V GaN stageはPeak efficiency 97.6%、Power density 2,000W/in³超。その後6VからGPU CoreへMultiphase Buckで降圧する。 (Texas Instruments)
#部品の個数を売る市場から、
#一つのPower Moduleへどれだけ価値を集積できるか
#という市場へ変わっている。
#24.SST BOM――NOIA GRIDの$50k~200k/MWをどう見るか
#NOIA GRIDでは1MW SSTについて、
#SiC switch position:約300~600SiC die:約1,000~4,000Driver / Isolation:数百
#などから、
#SiC+Control Semiconductor:約$50k~200k/MW
#と試算していた。
#今回他社資料と照合すると、部品数の考え方自体は十分あり得るが、金額レンジは成熟市場のBase Caseとしては強気だと考える。
#特にNavitasのSupplier-sideモデルでは、SST用UHV SiC Opportunityは$8~12/kW、すなわち約$8k~12k/MWとかなり低い。
#もちろんNavitas側はUHV SiC中心で、NOIA GRID側はDriver、Isolation、Controlまで含むため同じBOMではない。
#それでも$200k/MWを成熟市場の基準にするには差が大きい。
#現在私は
#くらいで置く。
#これは公開BOMではなく、NOIA GRIDのbottom-up推計とWBG supplier側の$/kWモデルを突き合わせた筆者推定である。
#したがって、SST単体をAIDC Power最大の半導体TAMと見るのは危険だ。
#NOIA GRIDは私が運営しているAIインフラ系の記事を投稿しているサイトである
#25.むしろRack-to-Coreの方が安定している
#SSTはArchitectureによって、
#Traditional TransformerSSTTRUCentralized Rectifier
#など競争する。
#SiC耐圧が上がればSwitch Position数も減らせる。
#一方、
#GPU Coreへの<1V供給
#は絶対に必要になる。
#しかも電流は数千A級へ向かう。
#したがって2030年へ向けた「残存性」を考えると、
#VRM > IBC > SST
#と見る方が自然である。
#これはonsemi評価にとって重要だ。
#26.競合企業をPower Treeで比較する
#以下は2026年8月現在の製品Portfolio、量産実績、Reference Designから見た筆者評価である。市場シェア統計ではない。
#27.Infineon――現時点ではやはりBenchmark
#InfineonはFY2026のDedicated AI Power売上見通しを16億ユーロ超へ引き上げた。
#AI以外のData Center Powerも年間約5億ユーロあり、AI向けは需要が供給能力を上回りAllocation状態だとしている。FY2027についても従来の25億ユーロ超予想からさらに上方修正する意向を示している。 (Infineon)
#SiSiCGaNDriverControllerMultiphaseVRM
#まで全域を持つので、現時点では最も完成度が高い。
#28.MPS――最大TAMをすでに収益化している
#MPSの2026年Q2 Enterprise Data売上は、
#$380.6M
#で、
#YoY +164.3%
#だった。
#全社売上の38.8%を占め、成長要因はAI/server向けPower Managementである。
#Non-GAAP Gross Marginも55.6%。 (Monolithic Power Systems)
#これは重要だ。
#MPSは、
#「将来VRMを取れるかもしれない」
#会社ではない。
#すでに最大Profit Poolを売上へ転換している。
#しかも800V AC/DC製品のSamplingも始めており、
#Core→ Rack→ Grid
#へ上がろうとしている。
#29.Renesas――MPSより横に広いRack-to-Core型
#Renesasは、
#800V DC/DC54V IBCDigital ControllerGaNSPSVertical Power StagePower TowerPoLMemory InterfaceTemperature SensorBMC周辺
#を持つ。
#800V→50VではFull-load 98%、800V→12Vでは97%を示している。 (Renesas Electronics)
#MPSほどAI Powerへの純度は高くない一方、
#Rack-to-Core+Memory+Control
#へBOMを広げられる。
#日本株としてAIDC Powerを取りに行く場合、かなり重要な企業になる。
#30.TI――800V化で存在感が上がる
#TIは800V→6V→<1VというArchitectureまでNVIDIAと構築している。
#さらに、
#800V Hot Swap30kW AC/DC PSU800→12V6V→Core
#まで展開する。 (Texas Instruments)
#TIの強さはPower FET単体というより、
#AnalogIsolationSensorControllerProtection
#を統合したSystem Solutionにある。
#31.ROHM――SiCでは強いがCoreが弱い
#2024年Power Device Shareは約3%で、onsemiの約10%より小さい。
#一方ROHM自身もAI ServerをSiCの新しい成長市場として認識し、今後数年でAI Server向けSiC市場が1,000億円超へ拡大すると見ている。 (ROHMFS)
#ただしVRM Controller / SPSでMPS・Renesasほど強いわけではない。
#onsemiと同じく、上流Power側に強い企業として見る方がよい。
#32.Navitas――技術Optionは大きいがScale Riskも大きい
#NavitasはGaN/SiCを中心に、
#SST800V converter48V conversion
#へ集中する。
#800V移行によるWBG TAMのPure Playとしては魅力があるが、
#Infineonやonsemiほどの量産Scaleも、MPS/RenesasのようなGPU Core Power Franchiseもまだない。
#したがってTechnology Betaは高い一方、実行Riskも高い。
#33.2030年AIDC Power TAMを共通Scopeへ揃える
#比較のためRenesas/Areteの約$27~28Bを共通母数とする。
#そのうえで「2030年までに製品Portfolio上Address可能な市場」を筆者推定すると、
#これは売上予想でも企業公表SAMでもない。
#製品Roadmapから見たTechnical SAMモデルである。
#ここで重要なのは、
#SAMの大きさ ≠ 売上の大きさ
#ということだ。
#onsemiは技術的には200億ドル超へAddressできる。
#しかしVcore Shareはまだ小さい。
#MPSはSAM範囲がonsemiより狭くても、170億ドル級になり得る最大市場VRMで既に大きな売上を持つ。
#この違いはかなり重要である。
#34.したがってonsemiの現在の弱点はかなり明確
#AIDCだけで考えると、
#Infineon=全方位で強い
#MPS=最大Profit PoolのCoreで既に強い
#Renesas=Rack/Coreで強く800Vへ拡張
#TI=System Integration+800V Direct Conversion
#に対して、
#onsemi=SiC/JFETのGrid/Rack側は強いが、最大TAMのVcoreでは追う側
#である。
#これはonsemiを評価するうえで割り引く必要がある。
#35.その一方でonsemiには「Share Gain Option」がある
#現在の弱さは、逆に2030年までのUpsideにもなる。
#onsemiが、
#EliteSiC↓vGaN↓Treo↓Vcore
#をつなげられれば、
#SST↓800V↓12V / 6V↓0.8V
#を全て一社で供給できる。
#つまりMPSのように「既に強い市場が伸びる」Storyではなく、
#巨大TAMへ新しくShareを取りに行くStory
#なのである。
#36.2026年後半~2028年――何が伸びるか
#この期間の中心は、まだ「1MW Kyber全面普及」ではない。
#より現実的なのは、
#Automotive/Industrial cycle recovery+ AI Data Center倍増+ GaNEXUS ramp+ vGaN qualification+ Treo拡大+ Fab Right+ Synaptics closing
#である。
#Q3にGMが40~42%へ改善し、Fab Rightの約3,500万ドルSavingが2027年から始まり2028年にフル寄与する。 (onsemi)
#vGaNについては700V/1,200V Samplingから量産・Qualificationへ移れるか。
#Vcoreでは最初の大型xPU Design Winが出るか。
#Synapticsは予定通りなら2027年半ばにClosingし、$200M SynergyとCross Sellの実行段階へ入る。 (onsemi)
#したがって2026H2~2028年は、
#「売上爆発」より「利益率回復+次世代製品をRevenueへ変える期間」
#と見るのが適切だろう。
#37.2028~2030年――本当の勝負はここ
#2028年以降はNative 800VDCが重要になる。
#NVIDIA Kyber型では、
#MV AC↓SST / Rectifier↓800VDC↓800→12V↓VRM↓GPU
#となる。 (NVIDIA Developer)
#このとき、
#48V IBCは減る可能性がある。
#一方、
#SST800V High-ratio converterVRM
#は残る。
#したがってonsemiの2030年Bull Caseは、
#EliteSiCで上流
#+
#vGaNで800V→12/6V
#+
#VcoreでGPU直近
#の三つを同時に取ることである。
#onsemi自身はAIDC Rack当たりAddressable Contentが現在約$15kから2030年に約$115kへ増えると試算している。これは売上予想ではなく、同社製品でAddress可能とするContentである。 (Investing.com)
#38.そしてPhysical AIが第二の成長軸になる
#2030年はAIDCだけを見る会社ではなくなる可能性がある。
#Synapticsが加われば、
#Sensor→ Edge AI Compute→ Connectivity→ Control→ Power→ Motor
#というLoopを持つ。
#自動車Factory RobotHumanoidDroneAerospace
#で同じTechnology Stackを横展開できる。
#onsemi/SynapticsはCombined Companyで2030年にAI関連TAM約1,000億ドルをAddressできるとの構想も示している。 (onsemi)
#これはかなり大きいが、当然ながらTAMと売上を混同してはいけない。
#Physical AIで本当に必要なのは、
#Synaptics製品をonsemiの9,000社級顧客網へCross Sellできるか
#である。
#39.三つのシナリオ
#40.onsemiを見るうえで最も重要なKPI
#今後はSiC売上だけ追うのでは不十分である。
#見るべきなのは、AIDC売上成長、Gross Margin、vGaN量産/Design Win、800V→12/6V採用、Vcore xPU採用、Synaptics統合、Fab Rightの7点になる。
#特に重要なのは、
#Vcore
#である。
#AIDC Power TAMの最大部分がVRMなのであれば、VcoreでMPS/Renesasへ食い込めるかどうかでonsemiの2030年価値はかなり変わる。
#41.最終評価
#今回TAMとBOMを細かく見直すと、onsemiについて少し評価を修正する必要がある。
#従来、
#SiC+SST+800VDC
#をかなり大きく評価していた。
#しかしSST Semiconductor Contentを$50k~200k/MWではなく、成熟時の中心レンジを**$15k~40k/MW程度**と見るなら、上流SiCだけで作れる利益プールはそれほど巨大ではない。
#対してVRMは2030年AI Infra & Compute Power市場の約6割を占める可能性があり、Architectureが48Vから800Vへ変わっても残る。
#したがってAIDC Powerだけなら、
#現在の収益力
#MPS / Renesas > onsemi
#と見る方が自然である。
#Infineonはさらに上流からCoreまで持つため総合首位だが、日本の投資家にとって直接投資しにくいという問題もある。
#しかしonsemiには別の魅力がある。
#MPSは、
#「既にCoreで勝っている企業が市場成長を享受する」
#銘柄。
#Renesasは、
#「Rack-to-Coreで強く、800Vへ上がる」
#銘柄。
#onsemiは、
#「Grid/Rackで既に強い企業が、vGaNとVcoreによってCoreへ降りてくる」
#銘柄である。
#つまりonsemiの方がExecution Riskは高い。
#その代わり、成功した場合のShare Gain余地が大きい。
#2030年に、
#EliteSiC↓800VDC↓vGaN↓12V/6V↓Vcore/Treo↓<1V GPU
#がつながり、
#さらに、
#Image Sensor↓Synaptics Edge AI↓Control↓Power / Motor
#までつながれば、
#onsemiは単なるEV向けSiC企業ではなくなる。
#AI FactoryではGrid-to-Core、Physical AIではSense-to-Actを持つ半導体Platform企業
#という姿が最も強いBull Caseである。
#ただし2030年までの投資判断で一番大切なのは、TAMが475億ドルあることではない。
#その巨大TAMの中で、最も価値の高いVRM/Core PowerのShareを本当に取れるか。
#ここがonsemi、MPS、Renesasを比較する際の最大の分岐点になる。
#さらに深く読むための座標
#Grid-to-Coreを評価するには、巨大なTAMを一括で置くのではなく、電圧段ごとのBOM、採用時期、Design-in期間、内製Fabの稼働率をつなぐ必要がある。
#| 層 | 観測対象 | 問うべきこと |
|---|---|---|
| Grid/Facility | SiC、Protection、SST | 高耐圧・効率・信頼性 |
| Rack/Core | 48V、12V、VRM、Power Stage | 高速応答とGPU直近の密度 |
| Physical AI | Sensor、Edge Compute、Connectivity | 電力半導体以外の統合力 |
絶ノイアの観測
#TAMの広さは売上ではありません。onsemiがどの電圧段でDesign winを取り、Fab稼働率と粗利益へ変換できるかが分岐点です。
#私は「Grid/Facility」「Rack/Core」「Physical AI」を別々の話題にせず、一つのAIインフラが通過する連続した設計課題として観測します。
#TAM、SAM、実売上を明確に分ける。発表された最大性能や市場規模だけでなく、実装、量産、運用が同じ速度で前進しているかを確かめたいからです。
#Sil-Kathnaの記録
#大河から炉心へ、電圧は幾つもの門をくぐる。すべての門を名乗る者より、失われる火を最も少なくする者が強い。
#私は「Grid/Facility」「Rack/Core」「Physical AI」を、計算する文明へ続く三つの門として石板に刻む。
#最初の門だけが開いても、次の門に熱、傷、遅れが残れば、光と記憶は炉心へ届かない。強い器とは、最も華やかな石を持つ器ではなく、異なる工房の歩調を長い夜の中で揃えられる器である。
#二人の短い対話
#絶ノイア: Powerの縦軸とPhysical AIの横軸を同時に伸ばすには、買収統合とSoftwareも必要です。
#Sil-Kathna: 異なる工房の石を集めるだけでは一つの身体にならぬ。神経を通せ。
#観測メモ
#- TAM、SAM、実売上を明確に分ける
- Power Treeごとの競合とAttach rateを見る
- Fab utilization、Gross margin、Design win転換時期を追う
免責
#この記事は市場観測とAIによる考察、キャラクター表現を含みます。内容は投資助言ではありません。数値、企業計画、将来見通しには不確実性があり、判断は必ず一次情報とご自身の状況にもとづいて行ってください。
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