アナログ・ミックスドシグナルの基本と需給
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アナログ・ミックスドシグナルの基本と需給
#AIを現実世界につなぐ半導体
#アナログ・ミックスドシグナルの基礎から、AIDC・フィジカルAI・AI-RAN、そして需給まで
#需給・事業動向は2026年9月30日時点で確認できた公開情報に基づく。回路の説明に用いる数値例は、特に断らない限り原理を理解するための仮定であり、特定製品の部品表や実際の調達数量ではない。
#AI半導体というと、まずGPU、専用AIチップ、HBMといった製品が思い浮かぶ。
#しかし、計算用のチップだけではAIシステムは動かない。電力網から来た電気を使える電圧へ変換し、温度や電流を測り、別の計算機へデータを送り、現実世界の光・音・動きを取り込む必要がある。
#この仕事を担うのが、アナログ半導体とミックスドシグナル半導体だ。
#AIデータセンターでは電力変換と高速通信を支え、ロボットでは感覚と運動をつなぎ、無線ネットワークでは電波とデジタル情報を往復させる。AIの機能が広がるほど、計算の前後にあるこれらの回路を理解することが重要になる。
#ただし、技術的重要性が高まることと、すべての製品が供給不足になることは別だ。現在の需給を見るうえでは、需要の増加、製造能力の制約、特定型番の不足、価格上昇を分けて考える必要がある。
#1.アナログ半導体とは何か
#デジタルは「区別した状態」、アナログは「連続した量」を扱う
#デジタル回路は、情報を0と1などの区別できる状態として扱う。一方、アナログ回路は、電圧や電流の大きさ、その変化の速さ、波の形などを扱う。
#例えば、温度が上がるにつれてセンサーの出力電圧が0.800V、0.801V、0.802Vと変わる場合、この電圧はアナログ信号である。
#もっとも、デジタル信号も物理的には電圧や電流だ。0と1が配線の上を抽象的な記号として流れるわけではない。受信回路が実際の電圧を読み、「これは0」「これは1」と判定している。
#したがって、高速になるほどデジタル機器にもアナログの問題が現れる。波形が崩れる、電源が揺れる、信号が届く時刻がずれる、といった問題である。
#



ミックスドシグナルとは
#ミックスドシグナルは、アナログ回路とデジタル回路を組み合わせたものだ。
#代表例がADCである。ADCはアナログ電圧を測る一方、その測定結果をデジタルの数値として出力する。内部では比較器、基準電圧、スイッチ、コンデンサと、デジタル制御回路が協調して動く。
#大きく整理すると、次のようになる。
#この表は機能による整理で、互いに完全に独立した分類ではない。例えば電源ICにもADCが入り、センサーにも増幅器とデジタル補正回路が入る。実際の製品も、こうした複数の機能を組み合わせている。
#「材料」「素子」「回路」「装置」を混ぜない
#半導体を理解するうえで、特に重要なのがこの区別だ。
#材料 シリコン、SiC、GaN、GaAsなど ↓ 素子 ダイオード、MOSFET、HEMTなど ↓ 回路・IC 増幅器、ADC、電源制御IC、パワーステージなど ↓ モジュール 半導体+磁性部品+コンデンサ+基板など ↓ 装置・システム サーバー電源、無線装置、SSTなど
#GaNは材料名、MOSFETは素子の構造、PMICは機能、SSTはシステムの名称である。同じ階層の競合製品ではない。
#また、パワー半導体の単体素子、MEMSセンサー、光半導体、アナログICは、産業統計では別分類になることがある。本稿では、それらをまとめて「AIシステムを支えるアナログ/ミックスドシグナルの領域」として見ていく。
#2.最初に押さえたい、電気と回路の基本
#電圧・電流・電力は違う
#電圧は電荷を動かす電位差、電流は電荷の流れ、電力は単位時間に扱うエネルギーである。
#直流について、基本的な関係は、
#となる。(P)が電力、(V)が電圧、(I)が電流だ。
#例えば1,000Wを運ぶ場合、100Vなら10Aだが、1Vなら1,000Aになる。
#これが、AI電源の重要な特徴を説明する。
#遠くまで運ぶときは高電圧が有利でも、GPUの内部では低電圧・大電流が必要になる。#
さらに、配線の抵抗を(R)とすると、発熱は、
#で増える。同じ電力・同じ配線抵抗なら、電圧を上げて電流を減らすことで配線損失を抑えられる。
#交流と直流
#交流(AC)は、電圧の極性や電流の向きが周期的に変わる電気である。 直流(DC)は、極性が基本的に一定の電気をいう。
#ただし、直流だから電圧が全く変動しないとは限らない。整流直後のように、一方向だが大きく脈動する電気もある。
#電力変換の用語は、次のように整理できる。
#つまり、変圧と整流は別の処理であり、インバーターも広い意味ではコンバーターの一種である。電源装置では、これらを組み合わせて必要な電気を作る。
#抵抗・コンデンサ・インダクタ
#半導体の周囲では、受動部品も重要な仕事をする。
#抵抗は電流に応じた電圧降下を作る。電圧の分割や、電流測定にも使う。
#コンデンサは電界にエネルギーを蓄え、短時間の電流を供給・吸収する。電源の脈動や瞬間的な電圧低下を抑える。
#インダクタ、つまりコイルは磁界にエネルギーを蓄え、電流の急変を抑える。電源変換やフィルターに使う。
#コンデンサとインダクタの基本式は、
#だ。ここで(C)は静電容量、(L)はインダクタンスを表す。「短時間で電圧や電流を変えるには、それに応じた電流や電圧が必要」という意味である。
#共振とは、エネルギーが行き来すること
#コイルとコンデンサを組み合わせると、磁界と電界の間でエネルギーが行き来する。理想的なLC回路の共振周波数は、
#となる。
#ただし、共振回路はエネルギーを無から生み出さない。現実には抵抗などで振動が減衰する。発振器ではトランジスタが損失分を補い、振動を維持する。
#この原理は、無線の周波数選択だけでなく、電源の共振型コンバーターや、PLL内部の発振器にもつながっている。
#3.ダイオードとトランジスタ――回路の基本部品
#ダイオード:流れやすい向きと、流れにくい向きを作る
#代表的なダイオードは、P型とN型の半導体を接合して作る。
#接合部分には、電荷が移動しにくい領域と電位の障壁ができる。順方向の電圧をかけると電流が流れやすくなり、逆方向では流れにくくなる。この性質を利用して整流する。
#単相のブリッジ整流では4個のダイオードを使い、入力の極性が入れ替わっても負荷には同じ向きで電流が流れるようにする。三相の基本的なブリッジ整流では6個を使う。
#重要なのは、整流だけでは出力電圧が一定になるとは限らないことだ。コンデンサなどによる平滑化や、別の電圧制御が必要になる。
#ダイオードにも損失がある
#電流が流れているときの電圧降下を(V_F)とすると、おおよその導通損失は、
#となる。
#(V_F)は常に0.7Vというわけではない。材料、構造、電流、温度によって変わる。
#また、高速で流す・止めるを繰り返す場合、導通中に蓄えられた電荷の処理も問題になる。SiCショットキーダイオードは、PN型の少数キャリア蓄積に由来する逆回復を抑えられる点が重要だ。ただし、接合容量の充放電までなくなるわけではない。
#トランジスタ:小さな信号で、大きな電流を制御する
#トランジスタには、大きく二つの使い方がある。
#増幅器として使う場合は、小さな入力変化で、より大きな電流や電圧の変化を作る。
#スイッチとして使う場合は、電流を流す状態と止める状態を切り替える。
#どちらもエネルギー源は別の電源であり、トランジスタがエネルギーを作り出すわけではない。
#電源やモーターではMOSFET、IGBT、GaN HEMTなどをスイッチとして使う。MOSFETの場合、ゲートという制御端子の電圧で電流経路を制御する。
#そのゲートを素早く充放電するのがゲートドライバーだ。制御ICが「切り替えろ」と命令し、ドライバーが実際にパワー素子を動かす。
#近年のパワーステージでは、上下のMOSFET、ドライバー、電流・温度測定回路などを一つの製品にまとめている。MPSのIntelli-Phaseも、この統合の具体例である。
#4.シリコン、SiC、GaN、GaAs、SiGeは何が違うのか
#材料が変わると、扱いやすい電圧、周波数、電力、製造方法が変わる。
#実際に、高電圧電源ではSi・SiC・GaNを使い分け、低雑音増幅器にはGaAsを使う製品があり、SiGe BiCMOSでは高速の読み出し回路をシリコン回路と集積する研究・製品開発が行われている。
#SiC・GaNは「ワイドバンドギャップ半導体」と呼ばれる。バンドギャップとは、電子が電気伝導に関われる状態へ移るためのエネルギーの隔たりである。これが大きいことなどにより、高電圧・高温動作に有利な素子を設計しやすくなる。
#一方、材料の名前だけで性能は決まらない。同じGaNでも、電源用のスイッチと無線用の増幅器は、構造、動作点、パッケージ、必要な信頼性が違う。
#また、SiGeはシリコンとゲルマニウムの合金であり、GaAsやGaNのようなIII-V族化合物半導体とは区別される。
#「新しい材料ほど、すべて置き換える」わけではない
#GPU直前の低電圧・大電流変換では、シリコンMOSFETの低抵抗、コスト、集積性が重要だ。
#実際、Infineonの800V→12Vの参考設計も、一次側の650V GaNと、二次側の40VシリコンMOSFETを組み合わせている。GaNだけで構成するより、適材適所で組み合わせる設計である。
#



5.信号を測り、数字にする――増幅器・ADC・DAC
#オペアンプと比較器
#オペアンプは、小さな電圧差を増幅する回路である。通常は出力の一部を入力へ戻す「フィードバック」を使い、増幅率や周波数特性を調整する。
#例えば、力センサーが出す微小電圧を、そのままではADCが十分な細かさで読めない場合、先に増幅する。
#一方、比較器は二つの電圧を比べ、「どちらが大きいか」を出力する。
#なら1、逆なら0という判定が基本で、ADCや過電流保護などに使う。比較器には、判定の速さだけでなく、入力誤差や雑音への強さも必要になる。
#センサーの前後に置く増幅器、フィルター、基準電圧、入力保護などをまとめて、アナログ・フロントエンドと呼ぶ。
#なお、電源で使う「Active Front End」と、信号処理の「Analog Front End」は、どちらもAFEと略されることがあるが、意味は違う。
#ADC:電圧を有限個の数値に割り当てる
#ADCは、Analog-to-Digital Converterの略だ。
#基本的には、信号を一定の時刻で測り、その大きさを有限個の段階に割り当てる。
#例えば、入力範囲0〜1V、3ビットのADCなら、
#段階を使う。1段の幅は、
#となる。
#入力が0.70Vなら、0.625〜0.750Vの区間に入り、区間番号5、つまり二進数の101として表せる。
#このように連続値を段階に分けることを、量子化という。
#逐次比較型ADCは「電圧の二分探索」
#SAR ADCと呼ばれる逐次比較型では、内部のDACで仮の電圧を作り、入力と比較する。
#0.70Vを測るなら、
#という順で範囲を絞る。
#つまり、ADCの内部にDACが入っている。入力を保持するコンデンサ、仮の電圧を作る回路、比較器、デジタル制御が組み合わさっている。
#他にも、比較器を多数並べて一度に判定するフラッシュ型、粗い判定と残差の変換を複数段で進めるパイプライン型、繰り返し測定と雑音の周波数分布の操作を使うΔΣ型がある。
#高速ADCでは、これらを組み合わせる。例えば、複数のADCに少しずつ時刻をずらして測らせる「時間インターリーブ」や、パイプラインとSARの組み合わせが使われる。
#ビット数と精度は同じではない
#16ビット、1V範囲なら、コード上の1段は約15.3µVである。
#しかし、雑音や基準電圧の誤差が大きければ、15.3µVの違いを実際に正確に識別できるとは限らない。
#分解能は「何段階に分けるか」、精度は「どれだけ正しく測れるか」だ。高速変換では、さらに測定時刻のずれも誤差になる。
#また、「毎秒何回測るか」というサンプリング速度と、「何GHzの入力信号を受けられるか」という入力帯域も別の仕様である。
#DAC:数字に応じた電圧・電流を作る
#DACはADCの逆で、Digital-to-Analog Converterの略だ。
#例えば8ビットの値(D)と基準電圧(V_{\mathrm{ref}})から、理想的には、
#のような出力を作る。
#実装方法には、抵抗の組み合わせで電圧を分配する方式や、重みをつけた電流を合計する方式などがある。高速DACでは、電流源そのものを毎回ゼロから作るより、流れている電流の行き先を高速に切り替える方式が重要になる。
#連続的な波形を作る場合は、数値を時間ごとに更新し、不要な高周波成分をフィルターで取り除く。デジタル処理、DAC、アナログフィルターが一体で波形を作るのである。
#6.AIDCの電源を、場所と電圧でたどる
#AIデータセンターの電源は、一つの巨大な電源ICではない。施設、ラック、サーバートレイ、基板、チップの直近で、異なる仕事をする電源が連なっている。
#現在の構成と、高電圧DC構成
#代表的な考え方を簡略化すると、次のようになる。
#【交流配電を中心とする構成】
#中電圧AC ↓ 商用周波数変圧器 400~480V級AC ↓ PSU:整流・力率改善・絶縁変換 48~54V級DC ↓ 中間バスコンバーター 12Vなど ↓ GPU直近の電圧レギュレーター 1V前後以下のコア電源
#【800VDC配電を使う構成】
#中電圧AC ├→ 商用周波数変圧器+AC/DC電源 └→ SST ↓ 800VDC ↓ 絶縁型DC/DC 48~50V、または12Vなど ↓ GPU直近のコア電源
#800VDCは全施設が採用済みの構成ではない。NVIDIAが2026年8月に示した説明でも、既存AC施設に追加する電源ラックから、将来の列単位・施設単位のDC配電まで、段階的な移行が想定されている。
#これは固定された唯一の電源経路ではない。中間電圧や変換段数は設計で変わり、冗長電源や蓄電池も別の経路として接続される。
#6-1.施設側:整流だけでなく、系統からの電流を整える
#交流から直流を作る最も基本的な方法はダイオード整流だが、コンデンサを組み合わせると、入力電流が電圧のピーク付近に集中しやすくなる。
#そこで使うのが、PFC:力率改善である。
#力率とは、電源設備が扱う電圧・電流に対して、どれだけ有効な電力を取り出せているかを表す指標だ。位相のずれだけでなく、電流波形のひずみも関係する。
#能動的なPFCでは、パワー素子とインダクタを制御し、入力電流を望ましい形へ近づけながらDC電圧を制御する。
#ここで名称を整理しておきたい。
#これらは、順番に一つずつ置き換わる製品名ではない。
#また、480V ACを単純に整流すれば800V DCになるわけではない。800Vへ安定化するには、入力条件に応じて昇圧や能動制御が必要になる。
#6-2.SST:高周波トランスを使うため、電力を組み替える
#SSTはSolid-State Transformerの略で、パワー半導体と高周波磁性部品を組み合わせた電力変換システムだ。
#代表的な構成は、
#中電圧AC ↓ 能動整流 DCリンク ↓ インバーター 高周波AC ↓ 高周波トランス:電圧変換・絶縁 高周波AC ↓ 整流 800VDCなど
#となる。
#一度DCにしてから再びACにするのは、トランスを商用周波数より高い周波数で動かすためである。高周波化によって磁性部品を小型化する余地が生まれる。
#ただし、「中電圧から直接800V」という表現は装置の入出力を示すもので、内部の変換が一段しかないという意味ではない。
#OCPのSST仕様案には、13.8kV/34.5kV入力と800VDC出力の構成が示されている。一方、OCPの白書は、SSTの大規模運用における信頼性や効率には、さらに実証が必要だとも指摘している。
#SSTの難しさは、半導体の耐圧だけではない。絶縁、部分放電、故障電流、冷却、高速スイッチングによるノイズ、複数モジュールの制御まで含まれる。
#なお、通常の変圧器も電力を双方向に伝えられる。SSTの特徴は、逆方向に流せることそのものではなく、対応する構成なら、その流れや電圧を能動的に制御できることにある。
#6-3.800VDC配電:変換していない場所にも半導体が必要
#電気を運ぶだけの区間にも、電流・電圧センサー、絶縁監視、遮断制御が必要になる。
#DCには交流のような周期的な電流ゼロ点がないため、遮断器や接点ではアークへの配慮が重要だ。入力コンデンサに一気に電流が流れ込まないよう、接続前に徐々に充電するプリチャージも必要になる。
#こうした保護設計は、半導体式遮断器、機械式接点、ヒューズなどの役割分担を含むシステムの仕事である。
#6-4.800V→48V/12V:半導体と高周波トランスの協調
#絶縁型DC/DCコンバーターでは、DCを高速に切り替え、トランスへ交流として渡し、二次側で再び整流する。
#LLCコンバーターは、二つのインダクタンス成分とコンデンサの共振を利用し、スイッチを切り替えるときの損失を減らす方式の一つだ。
#ここでは、パワー半導体に加えて、高周波トランス、共振用部品、出力側MOSFET、制御回路の性能が効く。
#具体例としてInfineonは2026年3月、800V→50Vと800V→12Vの参考設計を公開した。50V版では二つの400V入力ブロックを入力直列・出力並列にしている。650V品が800V系に入るのは、このように各素子へかかる電圧を分担する構成だからであり、650V素子に800Vを直接かけてよいわけではない。
#6-5.48V→12V、12V→コア電圧:スイッチを使って降圧する
#基本となるのが、Buck:降圧コンバーターだ。
#入力DC ↓ 上側・下側のスイッチ ↓ インダクタ ↓ 出力コンデンサ+負荷
#上側スイッチをオンにする時間の割合を(D)とすると、理想的な連続電流動作では、
#となる。
#48Vから12Vなら、理想的な比率は25%だ。実際には出力電圧や電流を測り、負荷変化に合わせて制御する。
#上下のスイッチを同時にオンにすると短絡するため、切り替えの間隔も精密に管理する。このため、電源ICは単なるオン・オフ回路ではなく、測定、フィードバック、保護を含むアナログ/デジタル制御システムになる。
#6-6.GPU直近:多相電源が必要になる理由
#仮に、あるコア電源が0.8Vで960Wを供給すると、
#になる。
#これを一つの変換回路で処理するのではなく、複数の変換経路へ分ける。これが多相電源、Multiphase VRMである。
#コントローラー ├→ パワーステージ → インダクタ ─┐ ├→ パワーステージ → インダクタ ─┤ ├→ パワーステージ → インダクタ ─┤→ GPUコア └→ ………………………………………… ─┘
#各経路を時間差で動かすことで、電流を分担し、リップルや発熱を抑える。TIの多相電源の回路例でも、コントローラーに複数のパワーステージとインダクタを接続する構成が示されている。
#ここで、GPU全体のTDPを、そのまま一つのコア電圧で割ってはいけない。電力はコア、メモリ、入出力など複数の電源系統へ分かれるからだ。
#6-7.LDO:大きく下げるのではなく、必要な場所で電源を整える
#LDOは、入力と出力の電圧差が比較的小さくても動作できるリニアレギュレーターである。
#スイッチング電源のように高速で電流を切り刻むのではなく、直列のトランジスタを調整して出力電圧を保つ。
#損失はおおよそ、
#となる。
#したがって、大電力を大きく降圧する用途には不向きだ。一方、PLL、ADC、RF増幅器などへ、適切な低雑音電源を供給する用途で役立つ。
#ただし、LDOなら必ず十分に低雑音とは限らない。入力ノイズを抑える能力は周波数や入力・出力の電圧差で変わる。用途に合った品種の選択が必要である。
#7.受動部品まで見ると、需要の増え方が分かる
#パワーステージとインダクタの数量
#電源の相数を考えるための簡略式は、
#である。
#ここで、(P_{\mathrm{rail}})は特定の電源系統へ渡す出力電力、(I_{\mathrm{phase,usable}})は温度や効率などを考慮した、実用上の1相当たり電流だ。
#先ほどの1,200Aを、実用60A/相で分担するなら20相となる。基本的な多相Buckでは、相ごとにパワーステージとインダクタが必要になる。
#ただし、電力増加に対して部品数が必ず同じ割合で増えるわけではない。1相当たりの能力を上げる、複数相を一つのパッケージにまとめる、磁性部品を統合する、といった方法もある。
#したがって、見るべきものは個数だけでなく、電流処理能力、実装面積、部品金額、冷却条件である。
#MLCCは「瞬間的な電流の不足」を補う
#GPUの消費電流が急増しても、電源の制御回路とインダクタ電流は瞬時には追従できない。その間を、近くのコンデンサが補う。
#単純化すると、必要な容量は、
#で考えられる。
#例えば、不足する電流が100A、それが0.2µs続き、許容電圧低下が20mVなら、
#となる。
#ただしこれは、損失や配線を省略した説明用の計算だ。実際にはコンデンサ内部の抵抗、部品・配線のインダクタンス、電源の制御速度も効く。
#また、すべてをMLCCで担うわけではない。基板上の大容量コンデンサ、パッケージ内の容量、チップ内の容量が分担する。
#総容量だけでなく、必要な場所へ、必要な速さで電流を渡せるかが重要なのである。
#半導体メーカーと受動部品メーカーの関係
#基板上に電源を組む場合、半導体メーカーのICと、別メーカーのMLCC・インダクタを、電源メーカーや基板メーカーが組み合わせる。
#一方、電源モジュールでは、半導体とインダクタなどをまとめて供給する。MPSの製品群にも、インダクタ内蔵モジュールや48Vモジュールがある。
#ここで注意したいのは、モジュールのブランドと、内部材料・部品の製造元は同じとは限らないことだ。特定メーカーのMLCCが特定モジュールへ入るかは、個別の部品表や認定情報なしには断定できない。
#「1MW当たり何個」だけでは不十分
#1MWを6kWの変換ブロックで処理するなら、単純計算で約167ブロックとなる。しかし実際には、冗長構成、温度による出力制限、負荷率、他の電源経路を考慮する必要がある。
#さらに、内部の素子数は回路構成で変わる。
#そのため、1MW当たりの需要を分析する場合は、
#と分解する必要がある。ラックのMW数だけから、SiC・GaN・MLCCの個数や金額を一意には決められない。
#8.通信の基本――情報を波に載せる
#信号と変調
#信号とは、情報を表すために変化させた電圧、電流、光などである。
#無線では、送信したい情報に応じて波の振幅や位相などを変える。これが変調だ。
#例えば、波の高さを変えるのが振幅変調、波の周期の位置を変えるのが位相変調である。現代の通信では、二つの成分を組み合わせて振幅と位相を表すI/Q方式などを使う。
#送信と受信の基本経路は、次のように整理できる。
#送信 デジタル処理 → DAC → ミキサー → PA → アンテナ
#受信 アンテナ → フィルター/LNA → ミキサー → ADC → デジタル処理
#周波数・時刻の基準 水晶/MEMS発振器 → PLL → ミキサーのLO、ADC/DACのクロック
#PLLは、この経路の最後に一回だけ登場する処理ではない。信号経路の横から、必要な周波数やタイミングを継続的に供給する回路である。実際のPLL製品も、発振器、位相比較、分周器などを組み合わせて周波数を生成する。
#ミキサー:周波数を移す
#ミキサーは、信号を単に足し合わせるのではなく、乗算や高速な切り替えを利用して周波数変換する。
#数学的には、
#で説明できる。
#例えば28GHzの信号に27GHzの基準信号を掛けると、1GHzと55GHzの成分が生まれる。フィルターで1GHz側を取り出せば、情報を保ちながら低い周波数へ移せる。
#27GHzのような局所的な基準信号を、LO:局部発振信号という。
#ここで、送信時に高い周波数を使うのは「高いほど遠く届くから」ではない。利用可能な周波数帯、必要な帯域幅、アンテナの寸法、伝搬条件などによって周波数を選ぶ。受信後に周波数を下げるのは、後段の変換や信号処理を行いやすくするためだ。
#LNA:弱い信号を、雑音を増やしすぎずに増幅する
#LNAはLow Noise Amplifier、低雑音増幅器である。
#受信信号には既に雑音が含まれている。LNAは信号だけを魔法のように増幅するのではなく、自分自身が加える雑音を小さくしながら増幅する。
#同時に、隣の周波数から強い信号が入っても、ひずみや飽和を起こしにくいことが必要になる。低雑音、利得、線形性、消費電力の両立が難しい。
#GaAsを使うLNAの実例では、利得や雑音指数に加えて、大信号時のひずみや50Ωとの接続特性が重要な仕様になっている。
#PA:DC電源のエネルギーを、送信用の波へ渡す
#PAはPower Amplifier、電力増幅器である。
#小さなRF入力でトランジスタを制御し、DC電源から大きなエネルギーを取り出して、送信用のRF出力へ変える。
#難しいのは、効率を上げながら波形をひずませないことだ。
#トランジスタを強く動かすと出力が飽和し、不要な周波数成分が増える。この対策として、複数の増幅器を協調させるDoherty方式や、あらかじめ逆方向のひずみを与えるDPD、デジタル・プリディストーションを使う。
#GaN PAとDoherty構成、DPDを組み合わせた実測研究もある。ただし、DPDは必ずしもAIを必要とするものではなく、従来型のデジタル信号処理でも実現できる。
#PLL:発振器を基準に追従させる
#PLLはPhase-Locked Loop、位相同期ループである。
#基準信号 ↓ 位相・周波数の比較 ↓ 誤差に応じた電流・電圧 ↓ ループフィルター ↓ 制御可能な発振器 ↓ 出力 └→ 分周して比較器へ戻す
#出力を(N)分の1にして基準と比較する場合、同期すると、
#となる。
#位相とは、周期の中で波がどの位置にあるかということだ。PLLはずれを測り、発振器を少し速めたり遅くしたりして追従させる。
#ここで問題になる短時間の揺れがジッターであり、周波数領域では位相雑音として評価する。
#ただし、クロックのジッターと、基地局同士の絶対時刻のずれは別の指標である。フェムト秒級ジッターという仕様を、そのまま「全装置の時刻がフェムト秒精度で一致する」と解釈してはいけない。
#9.光トランシーバーも、アナログ技術の集合体
#光通信は、電気を使わない通信ではない。モジュール内部で、デジタル情報と高速な電気波形、光を往復させている。
#送信 デジタルデータ ↓ 高速電気回路/必要に応じてDAC ↓ レーザーまたは光変調器のドライバー ↓ 変調された光
#受信 光 ↓ フォトダイオード ↓ TIA:電流を電圧へ変換 ↓ 増幅・判定/必要に応じてADC ↓ デジタル処理
#フォトダイオードとTIA
#フォトダイオードは光を受け、光の強さに応じた電流を発生させる。
#この電流を扱いやすい電圧へ変えるのが、TIA:トランスインピーダンス増幅器だ。原理を単純化すると、
#で表せる。
#大きな増幅率と広い帯域、低雑音を同時に得るのが難しい。入力のフォトダイオードや配線の容量も性能に影響する。実際の光受信ASICでも、フォトダイオードとの組み合わせやバイアス条件を含めて設計される。
#光だから、ADCやPLLが不要になるわけではない
#光の強さを直接読む方式と、光の位相情報も使うコヒーレント方式では内部構成が異なる。高速ADC/DACやDSPをどこまで使うかも方式によって変わる。
#多値の振幅を使う場合、受信信号を単純に二値へつぶす増幅器では情報が失われる。波形の段階を保てる線形性が必要になる。
#また、光エンジンを計算チップの近くへ移して電気配線を短くしても、光を駆動する回路や受光信号を読む回路が不要になるわけではない。
#このため、光通信の需要を見るときは、光モジュールの個数だけでなく、光チャネル数、チャネル当たり速度、電気側の処理方式、ドライバーとTIAの集積方法を見る必要がある。成熟プロセスの需給調査でも、光通信用TIAはAI向けの能力配分が増える製品として挙げられている。
#10.MEMS、水晶、タイミングデバイスはどこに属するのか
#MEMSは「微小な機械構造+読み出し回路」
#MEMSはMicro Electro Mechanical Systemsの略で、微小な機械構造を使う技術だ。
#例えば加速度センサーでは、小さな質量体が動くことで電極間の容量が変わる。その変化を増幅し、デジタル値へ変換する。
#加速度 ↓ 微小な質量体の変位 ↓ 容量変化 ↓ アナログ読み出し ↓ ADC・補正・通信
#デジタル出力のMEMSセンサーでも、内部では機械的な動きとアナログ測定が行われている。
#水晶振動子は、通常は半導体ではない
#水晶振動子は圧電現象を利用した共振器であり、通常は受動部品・周波数基準部品として分類される。
#これに発振回路を組み合わせると水晶発振器となる。さらに温度補償を加えるTCXO、温度を一定に保つOCXOなどがある。
#MEMS発振器は、水晶の代わりにMEMS共振器を使う。機械共振と電子回路を組み合わせるという意味で、こちらもアナログ/ミックスドシグナル技術と深く関わる。
#ただし、共振器、発振器、PLL、クロック配分ICは別の役割である。
#共振器は物理的な基準、発振回路は振動の維持、PLLは周波数・位相の制御、クロック配分回路は必要な場所への分配を担う。
#11.フィジカルAIでは、感覚と運動の閉ループが増える
#フィジカルAIは、AIが物理世界を観測し、行動するシステムである。
#その基本構成は、
#現実世界 ↓ カメラ・力・触覚・位置・加速度などのセンサー ↓ アナログ読み出し・ADC ↓ AIと制御計算 ↓ モータードライバー・パワーステージ ↓ 機械が動く └→ 再びセンサーで観測
#となる。
#知覚側で増えるもの
#カメラだけでなく、力、トルク、触覚、姿勢、位置、電流を測る場合、それぞれに入力回路が必要になる。
#ただし、センサーの数と外付けADCの数は一致しない。ADC内蔵センサーや、多チャネルをまとめて測るICもある。
#需要を見る単位は、センサーのパッケージ数だけでなく、測定チャネル数、必要精度、更新速度、耐環境性である。
#運動側で増えるもの
#三相モーターを動かす典型的なインバーターは、三組の上下スイッチで構成する。そこにゲートドライバー、電流測定、位置検出、保護が加わる。
#高性能制御では、三相電流を計算しやすい座標へ変換し、トルクや磁束に関わる成分を制御するFOC、磁界方向制御などを使う。
#重要なのは、AIの大きな判断と、モーターの高速な電流制御を区別することだ。腕をどこへ動かすかという判断と、巻線電流を安全に追従させる制御は、同じ時間尺度ではない。電流や速度の振動を抑えながら制御を成立させることが、実際のモーター研究でも重要な課題になる。
#数量の考え方
#仮に独立した三相モーターを30個使う機械なら、基本構成上は、
#のスイッチ位置がある。
#ただし、これは180個の独立した半導体パッケージを意味しない。複数素子をまとめたIC・モジュールを使えるし、高電流では一つの位置に複数素子を並列化することもある。
#関節数、モーター数、スイッチ数、IC数を区別することが、需要推計の出発点になる。
#12.AI-RANは、どのようにアナログ需要へつながるか
#RANはRadio Access Network、無線アクセスネットワークである。端末とネットワークを電波でつなぐ部分を指す。
#AI-RANには、大きく三つの考え方がある。
#この三つは、AI-RANに関する研究でも区別されている。
#アナログ部品の需要が増える経路としては、無線の帯域幅拡大、対応周波数帯の追加、独立した送受信チャネルの増加、精密な同期、近傍のAI計算設備の追加が考えられる。
#ただし、AI-RANを導入するだけでPAやADCが自動的に倍増するわけではない。既存装置をAIで効率よく使うだけなら、追加需要が計算用半導体に集中することもある。
#また、アンテナ素子数とADC/DAC数も一対一とは限らない。アナログ側で信号をまとめる構成と、各経路を個別にデジタル化する構成では、必要な回路数が異なる。
#フィジカルAIから大量のデータが発生しても、端末側で処理して結果だけ送れば通信量は抑えられる。したがって、ローカル処理とクラウド処理の分担も、無線・光・ADC/DAC需要を左右する。
#13.技術的難易度と「堀の深さ」は、どこから生まれるか
#アナログ半導体の難しさを、一つの点数で並べるのは適切ではない。
#高電圧電源と低雑音増幅器では、解いている問題が違う。また、同じADCでも温度測定用と高速通信用では要求が大きく異なる。
#この表は市場シェアの順位ではなく、ここまで説明した回路から整理した技術・需要の見方である。
#微細化だけでは解決しない
#アナログ回路では、トランジスタを小さくすれば常に良くなるわけではない。
#電圧に耐えるための距離、雑音を減らすための面積、抵抗やコンデンサの比率、素子同士のばらつきが重要になる。
#一方、高速のミックスドシグナル回路では、微細なデジタル技術と補正回路を積極的に使う。14nmのパイプラインSAR ADCの研究のように、先端プロセスも活用される。
#したがって、「アナログ=すべて古いプロセス」でもない。
#堀は、回路図だけでなく「量産して使い続けられること」にある
#参入障壁を考えるときは、原理が分かることと、競争力のある製品を量産できることを分ける必要がある。
#例えば、比較器の回路を作れても、広い温度範囲で誤差を管理し、大量生産のばらつきに耐え、顧客の基板で発振やノイズ問題を起こさず、長期間供給できなければ採用にはつながらない。
#分析上、堀が深まりやすいのは、次の条件が重なる場合だ。
#製品の差がシステム性能へ直結し、代替品への変更に再設計・再評価が必要で、製造・実装・評価のノウハウが蓄積される領域である。
#逆に、仕様が標準化され、互換品が多く、変更コストが低い製品は、数量が多くても価格競争が強くなり得る。技術的重要性だけから高利益を推定することはできない。
#AIによる設計支援も、この構造を少しずつ変える。実際に、深層学習を用いてDoherty PAの出力回路を設計する研究がある。ただし、研究でも試作・実測による確認が必要であり、設計自動化だけで量産や信頼性評価まで消えるわけではない。
#14.2026年9月末の需給――どこまで不足が確認できるか
#現在の公開情報からは、AI電源向けの成熟プロセスや高容量MLCCを中心に制約が強まる一方、全アナログ製品が一律に不足しているとは確認できない、という整理が妥当である。
#まず、証拠の種類を分けたい。
#売上の増加は需要の強さを示すが、供給不足の証明ではない。 工場稼働率の上昇は供給余力の低下を示すが、すべての型番が不足するとは限らない。 納期延長や割り当ては、より直接的な制約の証拠になる。 値上げには、需給以外に材料費・人件費・製品構成なども影響する。
#領域別の整理
#14-1.電源向け成熟プロセスには、具体的な制約が出ている
#TrendForceが6月30日に公表した調査では、上位10ファウンドリーの8インチ工場の稼働率を88%、下期を90%の見通しとして説明した。また、第1〜第2四半期にファウンドリー価格が平均5〜15%上昇したとしている。
#これはウェハ製造サービスの価格であり、すべての電源ICの販売価格が同率で上昇したという意味ではない。12インチ側でも、55nm以上の高耐圧プロセスの制約が指摘されている。
#この構造では、AI向けに能力を振り向けることが、他用途の部品供給へ影響する可能性がある。ただし、プロセスや工場は完全に代替可能ではないため、「空いている工場があるからすぐ解決する」とも限らない。
#14-2.企業決算は需要回復を示すが、品種別不足とは別
#TIの2026年第2四半期売上高は54.6億ドル、前年同期比23%増で、産業・データセンター・車載が成長を牽引したと報じられた。ADIも第3四半期売上高が40.2億ドル、前年同期比40%増となり、データセンターと産業需要が背景にある。
#一方、これだけでは「PLLが足りない」「ADCが全面不足」とは言えない。
#ADIについては、最大6カ月程度の納期や、一部高信頼性製品を含む値上げの報道がある。ただし、これは報道ベースの情報であり、個別型番ごとの発注回答や正式な価格改定通知に代わるものではない。
#14-3.MLCCは、高付加価値品への能力移動を見る
#9月24日のTrendForce調査は、日本・韓国メーカーが民生向けからAI向けへ能力を移していると報告した。
#ここで重要なのは、「MLCCという部品名が同じでも、難易度が違う」ことだ。小型で大容量、低い寄生成分、温度・電圧条件への対応を求められる製品では、量産歩留まりも競争条件になる。
#なお、一部製品の生産終了計画も、数年の移行期間を伴う。将来の製品整理を「今日から供給が消えた」と読み替えてはいけない。
#14-4.SiCは、AI向け需要と市場全体を分ける
#SiCはAI電源で重要だが、市場全体にはEV向けを中心とした過去の能力増設がある。
#TrendForceの4月資料は、能力消化とコスト競争への移行を指摘している。したがって、「AI需要が増えるからSiCも全面不足」という結論は導けない。
#同じSiCでも、基板、エピタキシャル層、完成素子、モジュール、顧客認定済み製品では需給が違う。必要な耐圧や電流、パッケージの品種が足りるかを個別に見る必要がある。
#15.今後の需要を、どう追えばよいか
#AIによるアナログ需要を、単純に「AI市場の成長率」で推定すると見誤りやすい。
#分野ごとに、需要を生む物理量が違うからだ。
#例えば、GPUの電力が増えれば電源の仕事量は増える。しかし、パワーステージの能力向上で相数の増加が抑えられることがある。
#通信量が増えても、1チャネル当たり速度が上がればチャネル数は同じかもしれない。その代わり、一つのチャネルに求められる回路の難易度と価格が上がることがある。
#つまり、需要は、
#で見る必要がある。
#さらに企業業績へ落とすには、採用率、販売価格、製造コスト、競合、顧客内シェアを加える。技術的に必要であることと、その企業が売上や利益を獲得できることは同じではない。
#結論――AIの拡張とは、計算と物理世界の接点が増えること
#アナログ半導体は、古いデジタル技術ではない。電圧、電流、時間、光、電波、力といった物理量を扱うための技術である。
#ミックスドシグナル半導体は、その物理量をデジタル計算につなぎ、計算結果を再び現実世界へ戻す。
#AIDCでは、高電圧の電力を低電圧・大電流へ変換するために、パワー素子、制御IC、磁性部品、コンデンサが必要になる。高速通信では、ドライバー、TIA、ADC/DAC、PLLなどが、データを物理的な波形として運ぶ。
#フィジカルAIへ広がれば、センサーからモーターまでの閉ループが機械ごとに形成される。AI-RANへ広がれば、計算と無線処理、電力、同期の組み合わせが変わる。
#しかし、その需要は一様ではない。
#2026年9月末時点で特に明確なのは、AI電源向けの成熟プロセスと、高付加価値MLCCにおける供給配分の変化である。一方、ADC、RF、PLL、MEMS、SiCまで、すべてを同じ「全面不足」にまとめる根拠は不足している。
#今後を見る鍵は、「AI関連」というラベルではなく、どの場所で、何V・何A・何GHz・何チャネルを扱い、その性能を満たす製品を誰が量産できるのかという具体的な分解にある。
#特定銘柄の推奨・勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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